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<センバツ2021>
第93回選抜高校野球大会に出場した市和歌山は、2回戦で敗れて甲子園を去った。大舞台での接戦は選手を強くし、課題も浮き彫りにさせた。担当記者が緊迫の投手戦を振り返る。【橋本陵太】
県岐阜商(岐阜)戦との1回戦は、互いに譲らぬままスコアボードに「0」が並んだ。県岐阜商は低めに手を出さず、エース・小園健太投手(3年)は6四死球と制球に苦しんだ。しかし三回表1死二、三塁のピンチを「ゴロでも1点が入ると思ったので、ギアを上げて三振を狙いにいった」と2者連続三振で切り抜けた姿に、エースの意地を感じさせた。
九回裏1死一、二塁、ここまで3打席凡退だった亀井新生(ねお)選手(同)に打席が回った。市和歌山は2年前の出場時も1回戦をサヨナラ勝ちしている。決勝中前打の瞬間、見入ってしまいたい気持ちを抑え、私は冷静に仕事をしようと、アルプススタンドで周囲のOBらに話を聞き回っていた。サヨナラ打の瞬間、小園投手が飛び上がって喜びを爆発させていた姿は後でテレビで見た。クールな小園投手の普段見られない姿に、甲子園の勝利の意味の大きさを改めて思い知った。
2回戦は大会準優勝の明豊(大分)との対戦。この試合も1点を争う試合だった。試合前日、「明日はバックスクリーンに放り込みます」と力強く語っていた松川虎生主将(3年)は、1点を追う六回裏2死二塁の好機にお手本のような打撃で中前適時打を放った。私は市和歌山の練習を見続けてきたが、上級生と下級生が分け隔てなくグラウンド整備に取り組む姿を見て、チームのまとまりを感じた。チームの要の着実な打撃は、チームワークから生まれる粘り強い市和歌山の野球を体現していた。
しかし、七回表2死三塁。五回から登板していた小園投手が相手右打者の内角を突いて追い込むも三振に仕留めようとしたスライダーを狙われ、決勝打を浴びた。私も野球経験者だが、普通は悔しさが募り、負けた瞬間を振り返るのは難しい。しかし、バッテリーは試合中すぐに「あそこはカットボールで打ち取らせたら良かった」と冷静に話し合ったという。2人は「夏に戻ってこよう」と約束をし、球場を後にした。技術的に反省し、闘志も衰えない。その姿は負けてもなお、頼もしかった。
2試合で2失点と安定した守りを見せた一方で、昨秋からの打線の課題が甲子園でも浮き彫りとなった。1回戦は6安打、2回戦は4安打。松川主将は「今回の負けは、投手任せになっていたから。夏までしっかり(バットを)振り込んでいきたい」と話す。夏の「日本一」に向けて走り出したチームが、言葉通りの成長を見せてくれるのか。ライバルとしのぎを削る熱戦を今後も期待したい。
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