田中邦衛さん死去 「飾らない人だった」富良野「北の国から」悼む声

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撮影のために建てられた「石の家」。今も多くの観光客が訪れる=北海道富良野市で2016年8月20日午後3時25分、須藤唯哉撮影 拡大
撮影のために建てられた「石の家」。今も多くの観光客が訪れる=北海道富良野市で2016年8月20日午後3時25分、須藤唯哉撮影

 「飾らない人」「誠実な方だった」――。俳優の田中邦衛さんの訃報が伝えられた2日、テレビドラマ「北の国から」の舞台として有名となった北海道・富良野の人たちは、感謝を胸にその人柄をしのんだ。

 ドラマで「スナック駒草」として登場する富良野市のバー「潮(うしお)」店主の鈴木元さん(50)は「体調が良くないとは聞いていたが、ショックです」。子どもの頃、夏休みに家族や撮影スタッフ、田中さんを交えてソフトボール大会やスイカ割りをした。「楽しい思い出しかない」と振り返った。

 田中さんが店に来ると、注文は決まってオレンジジュース。酒が飲めなかった田中さんだが、スタッフと朝まで飲み会を楽しんでいた。

 「酒が飲めないのに、なんで酔っ払いの演技ができるの?」。鈴木さんの母親が尋ねると、スタッフを指さし「(彼らから)学んでいるんだ」と笑っていたという。撮影シーズンが始まると必ず「今年もよろしくね」とあいさつしてくれた。「律義な人。惜しい人を亡くした」と語った。

 ロケ地となった同市の居酒屋「くまげら」店主の森本毅さんは「飾らない人だった」。黒板五郎役を演じた田中さん。「五郎さんの格好で富良野の町をふらふらと歩いていた。隣のおじさんのような風体だった」。共演者からも「五郎さん」と呼ばれ、慕われていた。ファンからのサインにも気軽に応じ、初めて会ったお客さんとも冗談を言いながら鍋をつつく姿が印象的だった。「謙虚で温厚な方。もう一回会いたかった」

 「富良野が全国的に有名になったのはドラマのおかげ。今でもお参りに来るファンがいる」。こう語るのは、富良野神社の宮司の西川充彦さん(61)。1998年放送の「98 時代」で蛍と正吉が結婚式を挙げた神社で、30代だった西川さんも神主役として出演した。「すごく誠実な方だった」と惜しんだ。

 95年放送の「95 秘密」では、田中さん演じる黒板五郎と宮沢りえさん演じる小沼シュウが露天風呂に入るシーンが話題となった。撮影現場となった上富良野町の「吹上露天の湯」を管理する白銀荘施設長の松田靖司さん(55)は「露天の湯は透明ですが、撮影の時に白く濁らせて撮影したそうです。今でも多くの観光客が訪れる。田中さんの訃報は悲しい」

 2001年、富良野市の「ふらの名誉住民」になった田中さんに副賞として贈られた石のオブジェを製作した上富良野町の彫刻家、山谷圭司さん(65)は「富良野という土地になじみ、街を歩いていても違和感のない俳優さん。お亡くなりになっても富良野にずっといるような方だと思います」と語った。

 富良野市の北猛俊(たけとし)市長は「富良野市民とともに北の大地で生きてこられた五郎さんに感謝するとともに、心より田中さんのご冥福をお祈り申し上げます」とのコメントを出した。【源馬のぞみ、土屋信明、土谷純一、三沢邦彦】

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