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滝野隆浩の掃苔記

社会部・滝野隆浩専門編集委員のコラム。

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滝野隆浩の掃苔記

「認認介護」に向き合う

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 <滝野隆浩の掃苔記(そうたいき)>

 千葉県松戸市で小規模在宅型の介護サービスをする「ヘルスケアサービス」の三木京子代表(71)から「認認介護」の事例を聞いた。夫婦がともに認知症で、介護を必要とするケースのこと。新型コロナ感染症の時代は、支援がかなり困難だという。

 80代半ばの夫婦。大手企業を退職した夫と専業主婦だった妻に子はいない。2人で旅行に行くなど仲は良かった。穏やかな日々を引き裂いたのは妻の行動だった。夜中に家の屋根に上り、「ドロボー」と叫んで警察沙汰に。夫のことを「知らない人が家にいる!」と言い始める。自宅訪問したスタッフに、生の卵をお皿で出した。

 転倒した妻は救急搬送される。入院が5カ月続くと、夫の認知症も進む。「家でひとり」が耐えられない。タクシーを飛ばして妻に会いに行く。でも、感染対策で面会は不可。オロオロと、体格のいい夫は泣く。それでも何度も面会に行く。病院側が折れて、ウェブ会議システム「Zoom」で面会した。症状が落ち着きふくよかになった妻は「私は大丈夫。あなたもがんばって」。夫はまた泣いた。画面に向かって訴える。「早く帰って、ご…

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