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斎藤幸平の分岐点ニッポン

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斎藤幸平の分岐点ニッポン

資本主義の先へ ミャンマーのためにできること 知ることが、第一歩

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クーデターに抗議する在日ミャンマー人のデモ行進に参加した斎藤幸平さん(左端)=大阪市西区で2021年3月14日、山田尚弘撮影
クーデターに抗議する在日ミャンマー人のデモ行進に参加した斎藤幸平さん(左端)=大阪市西区で2021年3月14日、山田尚弘撮影

続くデモ弾圧、国際社会が批判/サインは3本指、SNSで連帯

 気鋭の経済思想家、斎藤幸平さん(34)が現場を歩き、岐路に立つ社会を考える連載。今回は、今年2月に軍事クーデターが起きたミャンマーの現状に声を上げる若者たちを取材した。日本各地で繰り広げられるデモやSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)を駆使したゆるやかな連帯。その思いに耳を傾け、私たちにできることを考えた。

 「We  Need  Democracy!」「We Want  Justice!」。3月14日の日曜日、閑散とする大阪のオフィス街に英語のシュプレヒコールが大きくこだました。参加者は300人ほど。ほとんどが20代から30代の若者たちだ。ただし、日本人はほぼゼロ。多くが関西各地から集まったミャンマー人である。

 2月1日、ミャンマーでは国軍によるクーデターが起きた。民主的な選挙で選ばれた国民民主連盟(NLD)のアウンサンスーチー国家顧問らが拘束され、半世紀にわたって続いた軍事独裁体制に逆戻りする危機に直面している。

 「15年近く前、仕事を探して日本に来た。2011年の民主化後、やっと日系企業も増え、教育も改善してきたのに、逆戻りさせるわけにはいかない」。デモに参加したミャンマー人男性(34)はそう憤り、最大都市ヤンゴンで暮らす両親と妹の身を案じる。ミャンマーの現状を訴える同様のデモは東京、名古屋、静岡、神戸、広島など各地で相次ぐ。

 彼らの祖国の若者たちも同じ思いで抗議活動を展開している。だが、それは命がけである。ミャンマーの人権団体「政治犯支援協会」(AAPP)によると、すでに500人以上が命を奪われ、数千人が拘束されている。SNSでは、国軍や警察が丸腰の市民を相手に無差別に暴力を振るう写真や動画が投稿されている。「国軍の攻撃対象はデモ隊から住民に広がり、安全な場所がなくなっている。たとえば地区一帯を封鎖して家宅捜索をしたり、軍事的に意味もないのにショットガンを撃ったり。住民に恐怖心を…

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