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3・11それから

再生へ向け歩み始めた東日本大震災の被災者を記者が継続取材します。各回の続編を随時掲載します。

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3・11それから

震災10年 災害で死者は出さぬ 姉を奪った津波、漁師の誓い

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 妻との話題は専ら、19歳になった長男の就職戦線という。目指すは「鉄道マン」。数百年続いてきた漁師の家業が途絶えるのは悔しいが、今は「内定」の吉報を待ち望んでいる。

 宮城県南三陸町の漁師、千葉仁志さん(42)は仕事後、いつもくつろぐ浜辺の漁具倉庫でカキにパン粉をつけていた。晩ご飯の支度の手伝いという。「俺も随分と円くなったかもね。でも、肉親を失った悲しさは薄まることはないよ。こんな思いは、どこの家族にもさせたくねえんだ」。穏やかだった表情が引き締まった。

 記者が仁志さんと出会ったのは、震災翌年の2012年夏。「行方不明の姉を捜し続けている若い漁師がいる」と聞いて、町東部の小さな漁港を訪ねた。

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