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池江選手が東京五輪へ 不屈の闘志に胸打たれた

 前を向く姿勢を貫き、不屈の闘志とたゆまぬ努力でオリンピックへの扉を開いた。

 白血病から復帰した競泳の池江璃花子選手が東京五輪出場を決めた。選考会を兼ねた日本選手権の女子100メートルバタフライで優勝し、メドレーリレーの代表権を勝ち取った。

 東京五輪の金メダル候補と呼ばれた池江選手が白血病と診断されたのは、本番を約1年半後に控えた2019年2月のことだ。あれからわずか2年あまりで、驚異的な再起を遂げた。

 入院は10カ月に及び、体重は15キロ以上も落ちた。抗がん剤の副作用にも悩まされた。退院はできたものの、新型コロナウイルスの感染拡大もあって、満足な練習はなかなかできなかった。

 東京五輪の1年延期が決まった後、昨年7月には開幕1年前イベントでスピーチを任された。闘病中の池江選手を起用することに疑問の声もあったが、本人は自分の言葉で思いを語った。

 「希望が遠くに輝いているからこそ、どんなにつらくても前を向いて頑張れる」とのメッセージは静かな覚悟を感じさせた。遠くに輝く希望とは24年パリ五輪だったかもしれない。

 国際舞台で活躍した過去に戻ろうとするのではなく、新たな競技生活を歩む。「第二の水泳人生の始まり」と自らに言い聞かせ、気持ちを入れ替えた。

 昨年8月からレースに復帰し、泳ぐたびにタイムを更新した。トレーニングと増量を意識した食事で筋力も徐々に戻ったが、自信を持って東京五輪出場を狙える状態ではなかった。

 池江選手は今回の優勝後、「自分が勝てるのはずっと先のことだと思っていた」と涙で言葉を詰まらせ、「努力は必ず報われると思った」と振り返った。

 胸を打たれた人が多かっただろう。不自由な生活を強いられるコロナ下ではなおさらだ。

 五輪出場を決めたとはいえ、まだ万全の状態ではない。抗ウイルス剤を毎日服用し、6週間に1度は通院しているという。

 開幕まで4カ月を切った。体調に気をつけながら準備をしてほしい。自然体で臨む「第二の水泳人生」を心から応援したい。

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