連載

3・11それから

再生へ向け歩み始めた東日本大震災の被災者を記者が継続取材します。各回の続編を随時掲載します。

連載一覧

3・11それから

震災10年 子どもの未来、撮りたい 名取・閖上に戻り写真館再建

  • はてなブックマーク
  • メール
  • 印刷

 津波に流された老舗写真館が、宮城県名取市閖上(ゆりあげ)地区に戻って1年余りが過ぎた。店の前を流れる名取川の堤防沿いには、真新しい商業施設がある。鮮魚店や中華料理店など、この街で津波にのまれた店と、外から進出してきたカフェなどが軒を連ね、週末は大勢の観光客でにぎわう。周囲には新築の住宅が整然と並ぶ。「若い人たちが結構住んでいるみたい。だけど昔の面影は何も残っていないね」。祖父の代から89年続く写真館を経営する斎藤正善さん(68)は寂しさをにじませた。

 約7100人が住んでいた閖上は、750人以上が亡くなった。市は、津波で破壊された街の上に最大約4メートルの土を盛り、街を再建する計画を立てた。だが、つらい記憶のある閖上よりも、海から離れた内陸に住みたいと考える住民が少なくなかった。計画段階で市が公表した新しい閖上の推計人口は2000人強だった。「住民が減る街で経営が成り立つのか」。斎藤さんは閖上に戻って店を再建するかどうか悩んだ。

この記事は有料記事です。

残り1132文字(全文1553文字)

あわせて読みたい

注目の特集