コロナ禍で需要激減のビールをジンに ホテルと老舗蔵元が開発

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ホテルオークラ福岡が醸造するビールを原料にしたジン=福岡市博多区で2021年3月26日、山崎あずさ撮影 拡大
ホテルオークラ福岡が醸造するビールを原料にしたジン=福岡市博多区で2021年3月26日、山崎あずさ撮影

 1000リットルのビールが70リットルのジンに生まれ変わった――。新型コロナウイルス感染拡大の影響でビールの消費が低迷する中、館内に地ビールの醸造所を有するホテルオークラ福岡(福岡市博多区)が、老舗の酒造会社と共同で需要が減ったビールを原料に蒸留酒のジンを開発した。

 オークラ福岡は1999年の創業時から地下の醸造所でオリジナルの地ビールを造り続けてきたが、昨春以降、宴会場やレストランの利用が減り、ビールの売り上げも激減。ビールは賞味期限が2カ月と短く、期限を過ぎると廃棄せざるをえない。そこで賞味期限がないジンへの再生を思いつき頼ったのが、以前から付き合いのある福岡県八女市の酒造会社、喜多屋だった。

ジンに蒸留するためビールをタンクに移す喜多屋のスタッフ=ホテルオークラ福岡提供 拡大
ジンに蒸留するためビールをタンクに移す喜多屋のスタッフ=ホテルオークラ福岡提供

 喜多屋は焼酎や日本酒などの蔵元だが、20年以上前から海外展開を積極的に進め、2019年には自社オリジナルのジンを造るため製造免許も取得。喜多屋の木下宏太郎社長(58)は同年末、山梨県の地ビール会社から「生産計画に狂いが出たためビールが大量廃棄になる。どうにかならないか」と相談され、ビールベースのジンを造っていた。

 そうした技術の蓄積があったとはいえ、完成までは試行錯誤の連続だった。「ビールの配合や分量、(香り付けする)ボタニカルを変えて、サンプルを20種類くらい造ってもらった」とオークラ福岡レストランサービス課の松本陽治課長(42)。オークラ福岡の地ビールは4種類あるが、最終的にすっきりとした味わいの「アルス」(ケルシュ)を75%、黒ビールで力強い味の「ダイコク」(スタウト)を25%配合することにし、香り付けにビールにも使うホップを加え個性を出した。

ホテルオークラ福岡が醸造するビールを原料にしたジン=福岡市博多区で2021年3月26日、山崎あずさ撮影 拡大
ホテルオークラ福岡が醸造するビールを原料にしたジン=福岡市博多区で2021年3月26日、山崎あずさ撮影

 アルコール度の低いビールを、アルコール度の高いジンに再生するには減圧蒸留を3回繰り返さねばならず、1000リットルのビールから70リットルしかできない。喜多屋の木下社長は「昨年6月に話をいただいてから10カ月くらいかけて、お互いの総力を挙げて一緒に造り上げた」と振り返る。

 完成したジンは50ミリリットル入り1320円。1400本限定で、オークラ福岡やインターネットで販売している。松本課長は「ホテルでジンを造っているところは世界でもなかなかない。唯一無二のものができた」と胸を張る。【山崎あずさ】

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