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東日本大震災

2011年3月11日に発生した東日本大震災。復興の様子や課題、人々の移ろいを取り上げます。

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原発事故時「車で避難」、既にほころび 職員、協定…全て不確か

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日本原子力発電・東海第2原発の事故に備えた避難訓練で、避難先に向かうバスに乗る住民ら=茨城県東海村で2018年7月16日、吉田卓矢撮影
日本原子力発電・東海第2原発の事故に備えた避難訓練で、避難先に向かうバスに乗る住民ら=茨城県東海村で2018年7月16日、吉田卓矢撮影

 原発事故が起きた場合、避難の対象になる原発の30キロ圏内で暮らす住民は、状況によって自家用車やバスで避難することになる。自治体は円滑に避難できるよう力を入れているが、ほころびが垣間見える。

共有されない防災行動・計画

 自家用車かバスで避難する際、車体が放射性物質に汚染されている恐れがある。このため、広域避難計画では、検査会場を通って汚染されていないか確認してから、指定された避難先へ向かうことになっている。しかし、東京大と毎日新聞によるアンケートの結果から、市町村の不十分な態勢が浮かぶ。

 検査会場や避難先の施設へ職員を配置する計画が決まっているか尋ねたところ、決まっていたのは新潟県柏崎市など14市町村にとどまった。茨城県日立市など83市町村は「派遣する人数などは決まっていない」と答えた。

 決まっていない理由を、鹿児島県内の自治体は「職員数が限られる。応援が必要になるが、どこから派遣してもらうか調整もできていない」、宮城県内の自治体は「職員の派遣先が100カ所以上になる。2人以上配置しようとすると、関係部署との調整が難しい」と説明する。

 過去の自然災害を振り返ると、避難計画を作っても職員の役割が自治体内などで共有されず、被害の拡大を招いている事例が少なくない。このため、台風などの災害では、自治体や防災の関係機関の職員、住民が災害の状況やその時々の役割に応じて防災行動をするタイムライン(事前防災行動計画)の取り組みが各地で広がっている。

 タイムラインに詳しい松尾一郎・東大客員教授は「自治体の防災行動まであらかじめ決めておくことで、対応の漏れや抜け落ちの解消につながる。役場内の部署や関係機関の間で行動計画を共有しておかないと、その場その場で臨機応変に対応できない」と指摘する。

 一方、アンケートからは「住民が勝手に行動しないか」と市町村が心配している様子もうかがえる。

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