LINEが読み違えた「ユーザーの気持ち」 宍戸常寿・東大大学院教授

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LINEの利用者の個人情報が中国の関連会社で閲覧可能だった問題を受け、記者会見する同社の出沢剛社長=東京都港区で2021年3月23日午後7時47分、玉城達郎撮影
LINEの利用者の個人情報が中国の関連会社で閲覧可能だった問題を受け、記者会見する同社の出沢剛社長=東京都港区で2021年3月23日午後7時47分、玉城達郎撮影

 利用者8000万人を超える国民的通信アプリ「LINE(ライン)」に激震が走っている。業務委託先の中国企業でメッセージの内容などが閲覧できる状態になっていたほか、画像などのデータが韓国のサーバーで保管されていた。同社は中国からの情報アクセスを完全に遮断するなどの対応策を示したが、利用者の不安は消えていない。一体なぜこのようなことが起きたのか。これからどう変えていくべきなのか。親会社・Zホールディングスが問題を検証するため設置した特別委員会の座長で、情報法が専門の宍戸常寿・東京大大学院教授に詳しく聞いた。【聞き手・後藤豪/経済部】

「気持ち悪さ」への想像力足りず

 ――今回の件は、アプリのシステム開発や、不適切な書き込みをチェックする業務を中国企業に委託した結果、そこの中国人技術者4人がメッセージの一部や利用者の氏名、電話番号を閲覧できる状態になっていた、というものです。問題点はどこにあったのでしょう。

 ◆個人情報保護法は、事業者に対し、個人情報を海外拠点で扱う場合にはユーザーの同意を得る必要があると定めています。ラインは規約に「個人データ保護法制を持たない第三国にパーソナルデータを移転することがある」と断り書きを入れ、それによって同意を得たことにしていました。しかしそれで十分だったのか、というのが論点です。

 ――結果的に、中国や韓国で個人情報が閲覧可能な状態になっていることを知った利用者から、強い反発が起きました。自治体や企業でも利用を取りやめる動きが出ています。

 ◆全体を通してまず問題となるのは、どのように個人のデータが韓国に移転されたり、中国からアクセスできたりしているのか、そこでどのように扱われているのかについて、透明性がなかったことです。当然ながら、規約に書いてさえいれば絶対セーフとなるわけではありません。特にラインは利用者が8600万人に達し、行…

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