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東日本大震災

2011年3月11日に発生した東日本大震災。復興の様子や課題、人々の移ろいを取り上げます。

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限界間近の汚染処理水 にじむ処分決断先行 風評被害対策に不安

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東京電力福島第1原発の敷地内に建ち並ぶ汚染処理水のタンク=福島県大熊町で2021年2月12日、滝川大貴撮影
東京電力福島第1原発の敷地内に建ち並ぶ汚染処理水のタンク=福島県大熊町で2021年2月12日、滝川大貴撮影

 東京電力福島第1原発の汚染処理水の処分を巡り、政府は近く海洋放出を決定する方針を固めた。近日中に開かれる廃炉・汚染水対策の関係閣僚会議(議長・加藤勝信官房長官)で海洋放出が正式に決まれば、処分に向けて前進することになるが、風評被害対策など課題は多い。

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 「汚染水の処理は避けて通れない課題だ」。菅義偉首相は7日、首相官邸で記者団にこう語り、汚染処理水の処分について近日中に判断する考えを強調した。「方向性が出たらしっかり対応していく。これは当然のことだ」とも語った。

 福島第1原発では事故直後から、溶け落ちた核燃料を冷やす水と、建屋に入り込む地下水などが混じって放射性物質が高濃度の汚染水が生じ続けている。現在の発生量は、1日約140立方メートル。このため、東電は多核種除去設備「ALPS(アルプス)」などで放射性物質の濃度を下げてきた。しかし、トリチウムを含む水は普通の水と化学的な性質が同じなので取り除くことができず、処理後の水を敷地内のタンクで保管するしかなかった。

 トリチウムを含む汚染処理水をどう処分すべきかは、廃炉作業をするうえで事故当初からの課題だった。このため、経済産業省は有識者らをメンバーに加えた会議を設置。複数の処分方法案に関して費用対効果などを評価し、2年半の議論の末、16年6月に処分方法を一本化するものではないと断りつつ「海洋放出は費用が安く処分期間も短い」と結論づけた。しかし、海洋放出に反対する声はやまなかった。

 風評…

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