最高裁判事、3分の1を女性に 「多様性が議論を活発化させる」

  • はてなブックマーク
  • メール
  • 印刷
2019年参院選における一票の格差訴訟の判決が言い渡された最高裁大法廷=東京都千代田区で2020年11月18日午後2時58分(代表撮影)
2019年参院選における一票の格差訴訟の判決が言い渡された最高裁大法廷=東京都千代田区で2020年11月18日午後2時58分(代表撮影)

 15人いる最高裁判所判事のうち現在、女性判事は2人しかいない。だが今年、女性判事1人を含めた判事計4人が定年を迎えることをきっかけに、女性問題に取り組む市民グループ92団体が行動を始めた。4人の後任を全員女性にして判事の3分の1(5人)を女性にするよう求める要望書を3月、最高裁や内閣官房、最高検察庁、日本弁護士連合会などへ提出したのだ。ジェンダー平等に向けて司法の変革はなるか。これら市民グループでつくる「女性差別撤廃条約実現アクション」の共同代表を担う浅倉むつ子・早大名誉教授(労働法、ジェンダー法)に聞いた。【大和田香織】

 ――最高裁の女性判事を増やすことを求めています。

 ◆まず問うべきなのは「女性を増やせば何か効果があるのか」ではなく、「なぜ男性ばかりが多数を占めているのか」ということだと思います。

 法律は国民生活の全般にわたって関係するため、当然女性を含めて全ての人に適用されます。しかし、女性はかつて高等教育を受けられず、法律の実務に関わる仕事に就く機会に恵まれませんでした。法律で女性が弁護士になれる、と認められたのは1936年、実際に女性弁護士が誕生したのは40年でした。学問の世界も同じ。法学は伝統や権威を重視するため、各法の規定や解釈には男性中心の規範が残っています。性暴力事件の裁判で「もっと抵抗すれば逃げられたはず」「被害者にも落ち度があったのではないか」と被害者に厳しい目が向けられてきました。この「強姦(ごうかん)神話」は誤っていると理解されてきたのは、ようやく90年代も後半になってからでしょう。

 労働問題を巡る裁判の判決を見ても、転勤命令を断らず、私生活をなげうって働く姿を労働者のモデルとする価値観に支配されていると感じることがあります。妊娠や出産、育児や介護を抱える労働者に対しては、企業内で仕事の評価が低くても仕方がない、長時間残業や転勤ができないのなら、パートや有期など非正規雇用がふさわしい、と考えているようにしか思えません。裁判官の構成も、男性に偏りすぎないほうがよいと思います。

 ――「3分の1」なのはなぜですか。

この記事は有料記事です。

残り1496文字(全文2379文字)

あわせて読みたい

注目の特集