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混迷を深める世界情勢のなかで、とるべき針路は――。日本を代表する国際政治学者が交代で論じます。

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バイデン米政権と北朝鮮 戦略ゲームの新展開か 慶応大名誉教授・小此木政夫

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会談する北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長(左)とトランプ米大統領=ハノイで2019年2月28日、ロイター共同
会談する北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長(左)とトランプ米大統領=ハノイで2019年2月28日、ロイター共同

 父・金正日朝鮮労働党総書記の死後1年半にも満たない2013年3月、金正恩党第1書記(当時、現総書記)は「経済建設と核武力建設の並進」路線を採択した。しかし、そのとき、4年後のロケット開発の画期的な前進を想像する者は少なかった。17年3月の大型ロケットエンジンの開発成功を経て、5月以後、北朝鮮は中距離および大陸間弾道ミサイルを相次いで試射したのである。同年11月には米東海岸に到達可能な「火星15号」が発射され、金正恩氏は「国家核武力の完成」を宣言した。

 「並進」路線の背後には、軍事力の二義性、すなわち核武力の完成が抑止力だけでなく、大きな外交力の獲得を意味するとの鋭敏な認識が存在した。本年1月の第8回党大会の報告でも、金正恩氏は「強力な国家防衛力は決して外交を排除するものではなく、正しい方向に進ませ、その成果を保証する威力ある手段になる」と指摘した。言い換えれば、金正恩氏は軍事力と外交力の巧みな組み合わせによって、米国を圧倒しようとしたのである…

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