リポート2021

F35B配備地に宮崎・新田原浮上 国、新聞報道翌日に「有力候補地」伝える

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冒頭のみ公開の協議で日隈副知事(手前)からの「遺憾」にうつむく玉栄次長(奥真ん中)ら=宮崎市橘通2の宮崎県庁で2021年4月5日午後5時39分、塩月由香撮影 拡大
冒頭のみ公開の協議で日隈副知事(手前)からの「遺憾」にうつむく玉栄次長(奥真ん中)ら=宮崎市橘通2の宮崎県庁で2021年4月5日午後5時39分、塩月由香撮影

 国が導入予定の最新鋭ステルス戦闘機F35B。戦闘機部隊がある空自基地で2024年度運用開始予定で、宮崎県新富町の新田原(にゅうたばる)基地が「有力な候補地」だと国が5日、県に伝えた。だが4日の読売新聞報道を受けてのもので、決定前の地元への情報提供を「考えていない」国に対し、地元自治体は「候補地と知らされておらず遺憾」。認識差が露呈した。【塩月由香】

 F35B導入は国の中期防衛力整備計画で示されたが配備先の記載はなかった。「宮崎配備」とした4日の報道後、小嶋崇嗣・新富町長は「説明を受けていない」、河野俊嗣知事も「情報提供を求めていたが」と遺憾を表明。九州防衛局幹部が5日、「混乱と不安を与えたおわび」の名目で宮崎入り。「有力な候補地の一つ」と県と周辺2市3町に初めて説明し、6日に岸信夫防衛相も定例記者会見で「有力な候補地であることは間違いない」と述べた。

 県との約30分間の非公開協議後、玉栄一邦(たまえかずくに)・九防次長は報道陣に「最終的に決まれば改めて説明にうかがう」と決定後の説明になることを強調。日隈(ひのくま)俊郎副知事は「反対か賛成か検討する時間を住民も欲しいわけだから困る」と情報提供のタイミングに異を唱えた。

 「おわび」の場で九防は初めて「F35B配備基地について」とするA4説明資料3枚を出してきた。県は場違いな対応に驚き、いったん出直させた。

 資料によると、千歳(北海道)▽三沢(青森県)▽百里(茨城県)▽小松(石川県)▽那覇(沖縄県)▽築城(福岡県)▽新田原――の7空自基地中心に検討され、23年度までに18機、最終的に42機を購入予定で、うち8機の取得費など約1349億円を20、21年度に予算化。「18機の配備先は今年度中にも決まる見通し」との口頭説明もあったという。

 新田原では在日米軍再編ロードマップに基づき、米軍が緊急時に利用するための弾薬庫や燃料タンク、駐機場の新設・整備工事が進められ、22年にも完成予定だ。現在F15が約20機ある基地にF35Bが配備されれば、米軍岩国基地(山口県)配備の米軍F35Bとの大規模演習も想定される。隣の鹿児島県では海自鹿屋基地のオスプレイ整備拠点化、馬毛島での基地整備計画がある。東シナ海をはさんだ緊張の高まりに応じ、九州・山口中心に軍備強化が進む。

 「脅威に思われ、(他国の)ターゲットにされるのではと心配される向きもあろう」。日隈副知事は住民の不安に理解を示し、「県民、市民をしっかり守っていく必要がある」と唇を結んだ。

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