江戸時代の酒造りの「秘伝書」、岩手で発見 再現プロジェクト始動

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江戸時代の南部杜氏の秘伝書を手にする布施かおりさん(右)と南部美人の久慈浩介社長=岩手県二戸市の南部美人で2021年4月7日、安藤いく子撮影 拡大
江戸時代の南部杜氏の秘伝書を手にする布施かおりさん(右)と南部美人の久慈浩介社長=岩手県二戸市の南部美人で2021年4月7日、安藤いく子撮影

 江戸時代の南部杜氏(とうじ)が酒造りの方法を書き残した秘伝書が岩手県洋野町の商店で見つかり、二戸市の酒造会社「南部美人」で7日、江戸時代の酒を再現するプロジェクトが始まった。現代よりも水の量を約4割少なくするなど秘伝書に書かれた当時の「レシピ」で酒を造る。6月に完成する予定で、プロジェクトの関係者は「江戸時代の酒がどのような味なのか、ロマンがある」と楽しみにしている。

 秘伝書が見つかったのは洋野町大野にある1778年創業の「西大野商店」。江戸時代後期から昭和初期まで酒を造っていた土蔵が今も残る。

 同商店が実家の布施かおりさん(57)は、この土蔵にすみ着いた「蔵付き酵母」がいると考え、2019年6月に南部美人の久慈浩介社長に酒造りについて相談。布施さんが江戸時代の製造法を調べるため、東北大に寄贈していた古文書を調べたが見つからず諦めかけたところ、同年11月に実家に保管していた秘伝書2通が見つかった。

 秘伝書には3回に分けて仕込む米の量や水の量などが書かれている。「こんなに克明に書いてある指南書は見たことがない」と久慈社長も驚いたという。

江戸時代の酒に近づけるため、蒸した米を機械を使わず空気にさらして冷やした=岩手県二戸市の南部美人で2021年4月7日、安藤いく子撮影 拡大
江戸時代の酒に近づけるため、蒸した米を機械を使わず空気にさらして冷やした=岩手県二戸市の南部美人で2021年4月7日、安藤いく子撮影

 7日に南部美人で行った仕込みでは、江戸時代の製造法に近づけるため、東北地方に古くからある米「亀の尾」をほとんど精米せずに使用。蒸した米を自然の冷気にさらした後、職人が木おけに移した。久慈社長は「江戸時代と今とでは酒の味も違う。現代とはかけ離れた個性的な酒になるのではないか」と話す。布施さんは「地元の人たちのために、地元の酒を造りたい」と意気込んでいる。

 完成した酒は西大野商店や南部美人で販売する予定だ。江戸時代と同じ米を栽培し、酒造りに生かす構想もふくらむ。【安藤いく子】

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