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半導体の供給不安 世界の変化見据え戦略を

 半導体の供給不安が深刻化している。直接のきっかけは需給の逼迫(ひっぱく)だが、米中対立が続く中、供給網のもろさに対する警戒感も強まっている。

 IT機器や自動車に半導体は不可欠だ。コロナ下でこれらの売れ行きが予想を上回ったのに加え、停電や火災による半導体工場の稼働停止が日米で相次いだ。

 一時的な供給ショックにとどまるものではない。次世代技術を巡る米中の覇権争いを背景に、主要国が半導体産業を囲い込む動きを強めているからだ。

 昨年以降、台湾に集中している半導体の生産拠点を自国に移そうとする欧米の取り組みが目立つ。中国の台頭による地政学上のリスクを考慮したものだ。米国が台湾の半導体受託製造大手TSMCの工場を誘致したのは、その一例といえる。

 バイデン政権は、技術上の優位を保つために、巨額の予算を投じて国内の生産基盤を強化する方針だ。半導体の供給網から中国を切り離す構想も掲げ、同盟国に協力を求めている。

 日本は、中国をはじめとするアジアを、生産や販売の中核拠点と位置づけている。米国一辺倒にならず、中国との関係にも目配りした対応が必要になる。

 日本の半導体産業は1980年代に隆盛を誇ったが、台湾や韓国の企業との競争に敗れた。主要企業の半導体部門を束ねた「日の丸半導体」での巻き返しも、不発に終わった。

 寄り合い所帯の弱点が露呈し、成長分野への事業転換や積極的な投資に踏み切れなかったためだ。

 スマホなどに使われる最先端の半導体の開発・生産では、欧米や台湾、韓国に対抗できない。

 それでも日本は、製造装置や材料といった分野では高い競争力を保っている。こうした強みを維持するためには、国内の半導体生産体制を立て直すとともに、米国やアジアとつながる強固な供給網を構築することが欠かせない。

 政府は、研究開発向け補助金の拡充や、海外メーカーの誘致といった取り組みを進めている。半導体は次世代技術の性能を左右する。競争力を低下させた反省を踏まえ、世界の変化を見据えた戦略を立てなければならない。

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