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原発事故により放射性物質が周辺に広がった際、体内に吸い込んだ放射性ヨウ素が甲状腺に集まることで起きる「甲状腺被ばく」は、甲状腺がんを引き起こす恐れがある。甲状腺被ばくの影響を防ぐ効果が期待される医薬品が「安定ヨウ素剤」だ。ただ、原発周辺の自治体では住民への配布が進んでいない。【荒木涼子】
2011年の東京電力福島第1原発事故では、国の安定ヨウ素剤の服用指示が、通信網の混乱などで原発周辺の自治体に伝わらなかった。その上、安定ヨウ素剤をもらえなかった住民も多かった。この教訓を踏まえ、原子力規制委員会は原子力災害対策指針に基づき安定ヨウ素剤を配布するためのマニュアルを定めた。
マニュアルでは、原発の5キロ圏内で暮らす原則40歳未満の住民を対象に、道府県や市町村が事前に配ることになっている。40歳以上でも、妊婦や希望者には配布される。入手した住民は、道府県と市町村が開く定期的な説明会に参加し、医師ら専門家から説明を受けたり、3~5年の使用期限ごとに交換したりする必要がある。
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