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東芝経営問題

1875年創業の「名門」東芝が、会社全体を事業別に3分割する方針を発表。事実上の“解体”の先には…。

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東芝非上場化は「悪くない一手」長内厚・早大教授が外資提案を読む

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東芝の車谷暢昭社長兼最高経営責任者(CEO)=東京都港区で2018年11月8日、小川昌宏撮影
東芝の車谷暢昭社長兼最高経営責任者(CEO)=東京都港区で2018年11月8日、小川昌宏撮影

 名門・東芝がまたしても揺れている。7日明らかになった英投資ファンド「CVCキャピタル・パートナーズ」による買収の提案。2017年3月期の巨額損失による経営悪化後、事業売却や大型増資などで立て直しを図ってきた東芝だが、足元では筆頭株主となったシンガポールのファンドとの対立も深まっていた。この買収提案は、東芝にとって吉報になるのか。ソニー出身で、電機業界の経営戦略に詳しい、早稲田大学ビジネススクールの長内厚教授に詳しく聞いた。【松岡大地/経済部】

経営にスピード 悪い話ではない

 ――東芝はCVCの提案について、7日の取締役会で検討を始めました。東芝は「物言う株主」で知られる投資ファンド「エフィッシモ・キャピタル・マネージメント」から相次いで株主提案を受けており、非上場化することで攻勢をかわしたいのでは、との見方もあります。

 ◆あくまで推論ですが、東芝の車谷暢昭社長がかつてCVC日本法人会長だったということを考えると、(一方的な提案ではなく)東芝とファンドの間で話はできているように見えます。それを前提にすれば、東芝にとって基本的に悪い話ではないのではないでしょうか。

 ――というと?

 ◆株主の短期的な要求と、企業の長期的な視点での投資は、必ずしも一致するわけではありません。思い切ったやり方で非上場化し、株主の言うことを聞かなくてもよい状態にすることで、長期的戦略は立てやすくなると思います。安定的な財務基盤があって長期的な戦略を立案できる環境が整えば、次の収益につながる事業投資もしやすくなります。東芝としては、「物言う株主」が必ずしも長期的な視点に立って発言しているとは言えない中で、せっかく事業が調子良くなってきたのに経営のスピードを落としたくない、不確実性を増やしたくない、という思いがあるのだと思います。

 ――一方で、かつて車谷氏自身が会長を務めたファンドに自社を買収させる、というのは不透明な取引にも見えます。ガバナンス(企業統治)の観点から問題はありませんか。

 ◆確かに、民主的なガバナンスの観点では問題があるかもしれません。ただし、東芝はいま、これまでの重厚長大なハードビジネスから、AI(人工知能)やIT(情報技術)の蓄積を生かした企業への転換を進めており、極めて大きな不確実性に直面しています。こうした状況では、民主的なプロセスを踏むより、素早く意思決定することも重要になります。

 例えば、私が以前勤めていたソニーは、…

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