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2011年3月11日の東日本大震災では、首都圏で鉄道が止まり、帰宅困難者が街にあふれて混乱した。この教訓から、東京都は都内の企業に対し社員が職場で3日間過ごせる食料などの備えを促し、職場から離れた人や観光客など「居場所をなくした人」を想定した一時滞在施設の確保を進めてきた。また、東日本大震災後に大きな地震を経験した大阪府や北海道でも、帰宅困難者対策に乗り出す動きがある。【韓光勲】
都は企業に備蓄促す
「建物は壊れていないのに、電車が止まっただけで大混乱。遠い自宅まで歩いて帰ろうとする人も多く、一斉に帰宅しないことがいかに大事かは知られていなかった」。「東京災害ボランティアネットワーク」(東京都中野区)事務局長の福田信章さん(47)は震災当時を振り返る。
同ネットワークは震災前、災害時に職場から徒歩で帰宅することの難しさを知ってもらおうと、20キロを歩く訓練を10年以上続けていた。参加者が4000人を超える年もあったが、多くの都民は「帰宅困難者」という言葉も知らないまま「3・11」を迎えた。
その日、東京は震度5強を観測。金曜の発生で都内の多くの企業は社員に帰宅を促したが、鉄道が止まり、人々が街にあふれた。内閣府の推計では、この時、首都圏で発生した帰宅困難者は515万人に上った。
帰宅困難者が街にあふれると、人が折り重なって倒れる「群衆雪崩」を引き起こしたり、道路の渋滞につながって緊急車両が通れなくなり「救える命を救えない」状況を招いたりする可能性が高まる。震災の教訓として「帰宅困難者対策」は必須の課題となった。
13年4月、都は全国で初めて帰宅困難者対策条例を施行した。将来、到来する可能性がある首都直下地震では、都内で517万人の帰宅困難者が出ると推計され、条例では「災害時はむやみに移動しない」を原則として掲げた。
その上で、…
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