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コロナ禍と考古学/上 密な教育、できない悔しさ=日本考古学協会会長・辻秀人

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コロナ禍前のゼミでの発掘調査の様子。「密」を理由に昨年からは実施できずにいるという=辻秀人さん提供
コロナ禍前のゼミでの発掘調査の様子。「密」を理由に昨年からは実施できずにいるという=辻秀人さん提供

 私は仙台市にある東北学院大学で考古学を教えている。考古学は、地下に眠る土器や石器から古代の歴史を考える学問なので、地下の文化財を調べ、掘り出す発掘調査は欠かせない仕事である。大切な発掘調査技術を学生の皆さんに伝えるために、私は約30年にわたって春夏の2回発掘調査を実施してきた。

 2020年春も発掘調査の準備を進めていたのだが、その矢先に新型コロナウイルス感染症が急速に広がり始めた。参加予定の学生のご両親は、合宿で密な生活をすることを心配し、不参加を申し入れた。私はなんとしても発掘調査を実施したく、あれこれ考えたが、結局は調査を中止せざるを得なかった。その後の昨年夏と今年春の調査も実施できず、昨年度の4年生は十分な発掘調査経験をもたずに卒業することになってしまった。教師としては十分な学びを提供できないまま卒業させたのは悔しい限りだ。

 大学は20年4月からすべての講義をリモートにした。リモートソフトを購入し、それを使って講義をするように教員に命じたのである。教員は見たことも聞いたこともないソフトを使ってリモート講義をする羽目になった。私も背に腹は代えられず、悪戦苦闘しながらリモート講義の仕方を覚えた。ただ、学生は自分の姿を画像に見せてくれない。講義は壁に向かって話をするようで味気なく、学生の反応が分からず、内容が伝わっているの…

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