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在日米軍に対する特別待遇を定め、さまざまな問題を生む元凶ともされる日米地位協定。見直しを求める声が広がっています。

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ヘリ低空飛行の苦情、米軍に178件通知 防衛省、歯止めにならず

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東京・山手線内の市街地を低空で旋回した後、ショッピング街が広がる表参道(渋谷、港区)周辺を北西に向けて飛ぶ米海軍ヘリ「シーホーク」=都内で2020年12月14日午後1時32分、大場弘行撮影(写真は動画から) 拡大
東京・山手線内の市街地を低空で旋回した後、ショッピング街が広がる表参道(渋谷、港区)周辺を北西に向けて飛ぶ米海軍ヘリ「シーホーク」=都内で2020年12月14日午後1時32分、大場弘行撮影(写真は動画から)

 在日米軍ヘリが東京都心上空で、日本のヘリであれば違法となる低空飛行を繰り返している問題で、防衛省が米軍ヘリによる可能性があるとして、2017年度以降に東京23区の市民らから受けた騒音など計178件の苦情内容を米側に通知していたことが判明した。同省作成の資料から分かった。低空飛行を指摘する苦情が多く、毎日新聞の調査で判明した低空飛行と日時や場所が一致するものもある。苦情の声が上がった後も米軍の問題のある飛行は続いており、通知を含む防衛省の対応が歯止めになっていない可能性が浮上した。

 防衛省は各地方防衛局で自衛隊や米軍の飛行に関する苦情を住民や自治体から受け付け、自衛隊に該当しないと確認できた苦情の内容を米側に通知している。

 同省が毎日新聞の取材に開示した苦情一覧によると、米軍に通知したもののうち、東京23区内の飛行に関する苦情は17年4月~20年12月の間に213件。このうちヘリに関するものが178件あり、内訳は世田谷140件▽杉並9件▽新宿8件▽渋谷6件――などだった。世田谷で多いのは横田基地など首都圏の基地と東京・六本木の米軍ヘリポートの往復ルートになっているうえ、こまめに通報する住民がいたためとみられる。年度別では17、18年度が8件と29件で、19年度に121件と急増。20年度(4~12月)は20件だった。

 苦情内容は、早朝や夜間の爆音や部品落下への不安のほか「マンションの5階から約50~100メートルのところを低空で飛行しており恐怖を感じる」など低空飛行に関するものが多い。機体のマークや文字など特定につながる情報を伝えているケースも複数あった。

 毎日新聞は昨年7月~今年1月の間に米軍ヘリによる低空飛行を24回、危険を伴う訓練とみられる飛行を3回確認し、2月から動画とともに報道している。そこで報じた2件の飛行と一致する苦情も寄せられていた。

「低空飛行をしている米軍機を見ると、戦争当時の怖い思い出がよみがえってきて、怖さがこみ上げてくる」。防衛省がまとめた苦情の資料には住民の切実な声が並んでいた=東京都千代田区で2021年4月7日、佐々木順一撮影 拡大
「低空飛行をしている米軍機を見ると、戦争当時の怖い思い出がよみがえってきて、怖さがこみ上げてくる」。防衛省がまとめた苦情の資料には住民の切実な声が並んでいた=東京都千代田区で2021年4月7日、佐々木順一撮影

 1件は米海軍シーホークが昨年12月14日午後1時台に渋谷駅周辺や山手線内を低空で旋回するなどした飛行。住民が同日午後1時33分に渋谷区内で「自衛隊か米軍か不明だが、南から北にヘリが低空飛行してうるさい」と通報していた。もう1件はシーホーク2機が昨年8月27日午後4時台に東京スカイツリー(墨田区)に繰り返し接近した飛行。住民が同日午後4時15~20分ごろ「浅草4~5丁目あたりで2機のグレーのヘリが低空で旋回飛行し、大変うるさかった。老人には恐怖」と訴えていた。

 一連の問題を巡っては日本政府が事実確認を米側に求めている。米軍からは「(2月に)報道された飛行から時間がたっており詳細な事実確認は容易ではない」と説明を受けているというが、既に伝えていた苦情の通知に米側がどう対応していたのかは不明だ。防衛省は取材に「米側には苦情内容を伝えるとともに、地元への影響を最小限にするよう配慮を求めている」としている。【大場弘行】

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