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お笑い、大衆芸能、放送などエンタメ全般を取材してきた、油井雅和記者が「舞台裏」をつづります。

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「橋田ドラマ」はなぜ支持されたか 研究者が作品に見る「覚悟」

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インタビューに答える脚本家の橋田寿賀子さん=静岡県熱海市で2020年2月4日、長谷川直亮撮影
インタビューに答える脚本家の橋田寿賀子さん=静岡県熱海市で2020年2月4日、長谷川直亮撮影

 「おんな太閤記」「おしん」、そして「渡る世間は鬼ばかり」……。4日に95歳で亡くなった脚本家、橋田寿賀子さんのドラマには、多くの人が深い思いを持っているはずだ。「橋田ドラマ」は、なぜ幅広い視聴者に支持されたのか。毎日新聞で「影山貴彦のテレビ燦々(さんさん)」を連載している影山貴彦・同志社女子大教授に、橋田ドラマを振り返ってもらった。【聞き手・油井雅和/デジタル報道センター】

影山貴彦・同志社女子大教授に聞く

 ――橋田ドラマは、嫁しゅうとめ問題を描いた「となりの芝生」(NHK、1976年)など、社会問題をとらえた作品として話題になることが多く、今では考えられない高視聴率を稼ぎました。なぜ支持されたと思いますか。

 影山 橋田ドラマというか、橋田さん自身の魅力かもしれないが、今の時代を生きる人たちにはない、自分自身の身を賭してでもという「覚悟」があるということでしょうか。自分が命をかけて作品を書くところが、一つ一つのドラマに出ており、自分の作品を当ててやるという思いも人一倍強かっただろうと思います。

 同時に、視聴者におもねらず、自分の思いを俳優に言わせるという気持ちをビンビン感じました。もしかしたら、今の脚本家にはおもねる部分が多いかもしれません。もっと書きたいところがあるかもしれないけれど、共同作業でこれはちょっと当たらないよねという中で、筆を柔らかくするところがある。橋田さんには、そうではない骨太さ、覚悟を感じました。

 ――橋田ドラマの特徴は長いセリフ。俳優も大変だったことでしょう。ただ、「リアルじゃない」「普通はそんなことを言わない」とも言われました。

 影山 同じ脚本家の倉本聰さんも、山田太一さんも、僕は大好きだからシナリオ本を読みますが、「現実にやり取りするセリフなのか」「このシチュエーションでこんなことを言うか」といえば、かなりのケースで言わない。言わないけれども、よりそこにリアリティーがある。リアリティーと現実は違うと思います。

 橋田さんは特に晩年期には、「渡鬼(わたおに)」で、さすがにこういう流れはむちゃくちゃではないか、と…

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