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政府の孤独・孤立対策 「まず自助」では救えない

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 新型コロナウイルスの感染拡大が暮らしを直撃し、孤独や孤立の問題が顕在化している。

 コロナ下の解雇や雇い止めは10万人を超えた。生活困窮の相談が急増し、昨年は11年ぶりに自殺者が増加した。

 政府は内閣官房に対策担当室を新設した。だが各省庁が既に実施している関連施策をまとめるだけでは意味がない。実効性のある取り組みが求められる。

 まず、失業や家族との死別などで、孤独や社会的孤立に追い込まれている人々の実態を具体的に把握する必要がある。

 そのためには、この問題に取り組んできた市民団体などとの連携を強化することが重要だ。

 子どもの居場所作りや女性の悩み相談、高齢者や生活困窮者への食料支援などで成果を上げているところも多い。

 自殺は20代までの若年層の増加が目立つ。ネット交流サービス(SNS)を活用し、悩み相談に応じているNPO法人もある。対策の参考にしたい。

 高齢者ら社会的弱者が孤立しやすい状況は、コロナ禍以前から指摘されていた。背景には、少子高齢化や過疎化、生活様式の変化などで人のつながりが薄れている事情がある。

 さらに近年は、引きこもりの50代の子を80代の親が養って困窮する「8050問題」や、一人親家庭の貧困など新たな課題も浮上している。

 孤独・孤立問題の実情はさまざまだ。これに応えるには、包括的な基本計画を立て、息長く取り組むことが欠かせない。

 社会自体も変わらなければならない。

 自己責任が強調されがちな風潮の中、周囲の偏見を恐れて、生活保護などの申請をためらう人は少なくない。

 孤独や孤立に陥っている人が「つらい」「助けて」と、ちゅうちょなく声を上げられる環境作りが求められている。

 菅義偉首相は目指す社会像に「自助、共助、公助」を掲げ、中でも「まず、自分でやってみる」と、自助を強調している。

 だが孤独や孤立の問題は自助では解決できない。公助の拡充を急ぐべきだ。

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