障害者は「わきまえる」べきか 無人駅巡るブログにかけた思い

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来宮神社を訪れた伊是名さん=本人提供
来宮神社を訪れた伊是名さん=本人提供

 電動車いすを使って生活する障害者でコラムニストの伊是名(いぜな)夏子さん(38)が4月初め、鉄道の無人駅で降りる際に係員の介助を受けるまでの交渉の過程などをブログに書きツイートしたところ、「モンスタークレーマー」などと批判が殺到した。一方で伊是名さんに支援のエールを送る人たちもいる。今回の発信に込めた思いを本人に聞き、鉄道利用をめぐる障害者の現状を探った。【デジタル報道センター・和田浩明、社会部・五十嵐朋子、遠藤大志】

「降車介助を」「できません」

 伊是名さんは生まれつき骨が弱い骨形成不全症で、身長約100センチ、体重約20キロ。歩けないため電動車いすで生活し、普段から鉄道を利用してあちこちに出かけている。

 今回の問題が起きたのは4月1日のこと。伊是名さんは7歳と5歳の2人の子供たちとヘルパー、友人の計5人で、静岡県熱海市の来宮(きのみや)神社に1泊2日で出かけた。ブログなどによると、事前に最寄りの伊東線来宮駅の構内図をJR東日本のウェブサイトで確認し、「下りなら階段なしなのかなと思い、行ってから考えよう」と出発した。

 途中の小田原駅には「乗りたい時刻の30分前」に到着。無人の来宮駅で降りる時に介助を受けたいと駅員に伝えたところ「案内は15分前にする」と言われた。

 その時間に戻ると、「来宮駅は階段しかないのでご案内できない。(経由駅の)熱海まででいいですか?」との返答が返ってきた。

 伊是名さんは要請を続けたが、別の駅員は「(介助できるのは)熱海駅までで、その後のご案内は小田原駅ではできません」と答えた。伊是名さんが「では、来宮駅まではどうやって行けばいいですか?」と尋ねると、「タクシーなど」と言われたという。

 伊是名さんは、障害者差別解消法に基づいて、エレベーターがない駅は「合理的配慮」として他の方法で対応すべきだなどとも訴えた。1時間ほど交渉を続けたが、「介助する」との返事は得られなかった。駅員からタクシー会社の電話番号をもらったが、「(タクシー会社が)対応できるか分からない」とも言われたという。伊是名さんらは「仕方がない」と予定の1時間遅れで熱海に向かった。

目的駅で係員の介助受け降車

 乗り換えの熱海駅に到着すると状況は一変していた。駅長を含む4人が同行し、来宮駅で電動車いすを階段で運んでくれた。伊是名さんはヘルパーに抱えられて降車した。

 「ありがとうございます」と係員らに謝意を伝え、帰りはどうすればいいか聞くと、「できる範囲でご対応します。事前にお電話ください」との返事だった。

 翌日、事前に電話して…

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