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ヤングケアラー

通学や仕事をしながら家族の介護をする子ども「ヤングケアラー」。将来が左右される深刻なケースも。

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ヤングケアラー~幼き介護

ヤングケアラー初の全国調査 自由記述に生徒の悲鳴 学校も苦悩

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ヤングケアラー支援に向けた政府のプロジェクトチームの初会合=東京都千代田区の厚生労働省で2021年3月17日午後5時半、田中裕之撮影
ヤングケアラー支援に向けた政府のプロジェクトチームの初会合=東京都千代田区の厚生労働省で2021年3月17日午後5時半、田中裕之撮影

 家族の介護や世話に追われる子ども「ヤングケアラー」をめぐる初の全国調査で、政府による実態把握はようやく一歩前進した。浮かび上がった子どもの負担や学校現場の苦悩、そして調査結果が政府に突きつけた課題を読み解いた。【田中裕之、山田奈緒】

 いくら助けを求めても誰も気づいてくれない――。調査の自由記述欄には、幼いきょうだいの世話をしているとみられる生徒の悲鳴がつづられていた。「親は私たち子どもが育児をして当然だと思っている」。その生徒は疲労感や学力低下の不安を訴え、「勉強する時間がほしい。睡眠時間がもっとほしい」と切実な願いを明かした。

 政府は初の全国調査で、ヤングケアラーを「本来大人が担う」家事や家族の「世話」を日常的に行う子どもと定義。このため、家族の世話(ケア)をしていると答えた公立中学と公立の全日制高校の2年生(5・7%と4・1%)は、一定以上の重い負担を抱えている可能性が高い。生徒が「介護」のイメージにとらわれ過ぎず、多様なケアについて答えられるよう配慮し、調査ではあえて家族の「世話」について尋ねた。

 今回の大きな特徴は、研究者や自治体の先行調査で除外されてきた「幼いきょうだいのケア」を集計に含めた点だ。ケア対象の家族(複数回答)は、きょうだいが中2、高2いずれも最多。その中で、ケアの理由(同)に「きょうだいが幼い」ことを挙げた生徒は、中2で73・1%、高2も70・6%とトップだった。

 家族に病気や障害がない場合、子どものケア負担の重さが特に見えにくく、専門家や自治体を悩ませてきた経緯がある。今回政府はきょうだいケアを明確にヤングケアラーとして認め、今後の支援策にも波及するとみられる。

 もう一つは、一部地域の先行調査で浮かんでいたヤングケアラーの実態が、全国的な傾向として初めて裏付けられたことだ。

 「誰かに相談する余裕なんてない。今日一日をどう過ごすかでいっぱい」

 「全部を代わってとか逃げ出したいわけではなく、少し余裕がほしい」

 「大人が否定せず、話だけきいてほしい」

 誰かに相談した経験のないヤングケアラーが大半を占めた全国調査からは、SOSを出せずに孤立する子どもたちの葛藤が改めて浮かぶ。「スクールカウンセラーに相談して嫌な目に遭った」「教師に家族ケアのことを説明したのに、遅刻や欠席が内申点に跳ね返った」など、自由記述には大人への不信もにじん…

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