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東日本大震災

2011年3月11日に発生した東日本大震災。復興の様子や課題、人々の移ろいを取り上げます。

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政府、処理水の海洋放出決定 2年後に実施見通し 福島第1原発

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関係閣僚会議で福島第1原発の汚染処理水の海洋放出を正式決定した菅義偉首相(左)。同2人目は梶山弘志経済産業相=首相官邸で2021年4月13日午前8時6分、竹内幹撮影 拡大
関係閣僚会議で福島第1原発の汚染処理水の海洋放出を正式決定した菅義偉首相(左)。同2人目は梶山弘志経済産業相=首相官邸で2021年4月13日午前8時6分、竹内幹撮影

 東京電力福島第1原発の汚染処理水の処分について、政府は13日、放射性物質の濃度を下げた後、海に流す方針を決めた。実際の放出は約2年後の見通し。新たな風評被害が確認されれば、東電が賠償する。さらに、政府・東電は漁業関係者らの意見を聞き、具体的な対策を練ることも確認した。全国漁業協同組合連合会などが反対する姿勢を崩さない中での決定になった。

東京電力福島第1原発の汚染処理水をためるタンク=福島県大熊町で2021年2月13日、本社ヘリから手塚耕一郎撮影 拡大
東京電力福島第1原発の汚染処理水をためるタンク=福島県大熊町で2021年2月13日、本社ヘリから手塚耕一郎撮影

 処理水の処分は、溶け落ちた核燃料(燃料デブリ)の取り出しと並び最大の懸案で、今回の決定は廃炉作業を進める上で大きな転換点になる。

 政府はこの日、首相官邸で関係閣僚会議(議長・加藤勝信官房長官)を開催。「国内(の原発で生じたトリチウムを含む水)で放出の実績があり安定的に実施できる」として、処理水の海洋放出を決めた。さらに、今週中に風評被害の対策を検討する新たな閣僚会議を設置する方針を示した。

福島第1原発 拡大
福島第1原発

 菅義偉首相は「処分は廃炉を進めるのに避けては通れない課題だ。政府が前面に立って、風評払拭(ふっしょく)に向けあらゆる政策を行っていく」と述べた。東電の小早川智明社長は会議に出席後、報道陣に「政府の方針に従い、主体性を持って適切に取り組む」と話した。

 タンクの処理水の7割は、トリチウム以外の放射性物質の濃度が国の放出基準を超えているため、東電は海洋放出の前に、濃度が基準未満になるまで多核種除去設備「ALPS(アルプス)」に通す。その後、トリチウムだけは技術的に取り除けないので、国の放出基準の40分の1(1リットル当たり1500ベクレル)を下回るよう、海水で100~1700倍に薄めることにした。

東京電力福島第1原発の汚染処理水の海洋放出を正式決定した関係閣僚会議を終え、記者団の質問に答える東電の小早川智明社長=首相官邸で2021年4月13日午前8時15分、竹内幹撮影 拡大
東京電力福島第1原発の汚染処理水の海洋放出を正式決定した関係閣僚会議を終え、記者団の質問に答える東電の小早川智明社長=首相官邸で2021年4月13日午前8時15分、竹内幹撮影

 放出のための装置の整備や原子力規制委員会の審査に、2年程度かかる。今後、たまり続ける分も含め、流し終えるまでには30~40年かかる見込みだ。

 一方、風評被害の対策として、福島県産などの水産物の販路拡大につながるよう、県内15市町村の水産関係の仲買、加工業者らを支援する。放出後に海が汚染されていないことを政府・東電が検査し、そのデータを国際原子力機関(IAEA)や専門家らにチェックしてもらう。

 海洋放出を巡っては、政府は当初、2020年10月に決める方針だった。しかし、漁業関係者らの反発により先送りし、関係団体と調整してきた。菅首相は今月7日、海洋放出に反対している全漁連の岸宏会長と会談し、放出への理解を求めていた。【岡田英、藤渕志保】

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