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松山英樹(ゴルフ)|東京オリンピック

日本男子で初めてメジャー大会優勝の栄冠を勝ち取ったゴルファー。目指すのはもちろん「金メダル」

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90年越しの悲願成就 なぜ松山英樹は勝てたのか その意義は?

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マスターズ・トーナメントを制し、歓声に応える松山英樹=オーガスタ・ナショナルGCで、AP
マスターズ・トーナメントを制し、歓声に応える松山英樹=オーガスタ・ナショナルGCで、AP

 男子ゴルフのマスターズ・トーナメントで松山英樹選手(29)が初優勝した。アジア勢初制覇で、日本選手が男子メジャーを制するのも初めての快挙。日本男子ゴルフ界が90年近く挑戦してきたメジャー大会での優勝はスポーツの枠を超えた意義も持つ。

圧倒的な経験値と非凡な才能

 日本から海を渡った幾多のゴルファーたちが、たどり着けなかった頂点に松山選手が立った。最終18番。通算278打目となるウイニングパットを沈めた瞬間、目に涙を浮かべた。残り4ホールで三つのボギーをたたいて貯金を吐き出し、2位との差はわずか1打。苦しさを乗り越えた先に栄冠が待っていた。

 1932年に宮本留吉が全英オープン(OP)に出場し、日本選手のメジャー大会挑戦が始まった。それから89年。青木功さんや尾崎将司さんら国内の猛者たちが何度も挑んでは、はね返されてきたメジャー制覇の扉を、なぜ松山選手はこじ開けることができたのか。

 マスターズは毎年同じコースで開催され、メジャー大会の中でも経験値の比重が大きいのが特徴だ。「ガラス」に例えられる高速グリーンは複雑かつ高低差のある傾斜を備え、初出場で全てを読み解くことは不可能に近い。松山選手は米ツアーに本格参戦した2014年以降、毎年出場を続けており、予選落ちは1回だけ。同時期に出場した石川遼、池田勇太選手らと比べても圧倒的な経験を積んできた。その成果が今回のマスターズ制覇だった。

 マスターズは招待基準も厳しい。日本勢最多出場の尾崎さんでも19回。それも40代の全盛期が中心だった。一方の松山選手は29歳の若さにもかかわらず、今回が10回目の出場で非凡さがうかがえる。

 80年の全米オープンで2位になった青木さんは日本ツアーを飛び出し、世界を主戦場に選んだことで大きく飛躍した。松山選手も13年のプロ転向後、わずか1年で米ツアーに足場を移し、世界最高峰に戦いの場を求めてきた。これまでメジャー4大会で7度ベスト10に入り、17年の全米OPでは2位とメジャー制覇まであと一歩に迫っていた。

 17年の全米プロでは最終日、残り9ホールをトップで迎えながら11番から3連続ボギーをたたいて5位に沈んだ。今回のマスターズでは2位に5打差で折り返した後半、ボギーが先行する苦しい展開の中でも耐え抜き、18番では第2打をバンカーに入れながらも我慢して1打差で勝利を手にした。過去の失敗から学び、メジャー王者にふさわしいタフな精神力を身につけていた。

 松山選手は…

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