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普天間合意から25年 沖縄に寄り添ってきたか

 沖縄県宜野湾市にある米軍普天間飛行場の返還に日米両政府が合意してから25年を迎えた。

 合意は「5~7年以内の全面返還」をうたったが、今も実現していない。四半世紀前の約束を果たせていない責任を両政府は重く受け止めるべきだ。

 返還が実現しないのは、代わりの施設を県内に整備して移設することが条件になっているからだ。

 代替施設は当初、海上ヘリポートが想定されていた。だが、名護市辺野古沿岸部を大規模に埋め立てて、2本の滑走路や軍港の機能を備える今の計画へと膨らんだ。

 県民は知事選や国政選挙で辺野古移設への反対の意思を示してきた。2019年の県民投票でも、埋め立て反対は72%にも上った。

 しかし、安倍晋三前首相は県民投票の直前に埋め立て工事を始めた。民意を置き去りにし、既成事実化を進めた安倍前政権で、官房長官を務めたのが菅義偉首相だ。

 埋め立て予定海域には軟弱地盤が見つかり、設計変更が必要になった。移設時期は目標の22年度から「30年代」にずれ込み、工費も当初予定の2・7倍の約9300億円に膨れ上がるという。

 米シンクタンクの戦略国際問題研究所は報告書で「完成する見込みは薄い」と指摘している。

 そもそも合意の目的は、沖縄の基地負担軽減だった。

 当時の橋本龍太郎首相はその象徴として、市街地にあり「世界一危険」とされる普天間の返還を米国に求めた。在沖縄米兵による少女暴行事件で反基地感情が高まっていたことが背景にあった。

 かつての自民党には、沖縄の苦難の歴史や過重な負担に思いをはせ、その軽減に熱意を持って取り組んだ政治家がいた。だが、沖縄に寄り添い、問題解決に取り組む覚悟が、今はあるのだろうか。

 「最低でも県外移設」と言いながら、迷走の末に辺野古案に回帰した旧民主党政権の責任も重い。

 菅首相は今週訪米し、バイデン大統領と会談する。国会で表明してきた「沖縄の心に寄り添う」という姿勢を行動で表してほしい。

 見通しの立たない工事を漫然と続けることは許されない。普天間の危険性を取り除くという合意の原点に立ち返り、米国と向き合うべきだ。

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