ペルー大統領選 ケイコ・フジモリ氏、2位で決選投票進出濃厚

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ペルー大統領選で、投票所に姿を現したケイコ・フジモリ氏=ペルーの首都リマで11日、AP 拡大
ペルー大統領選で、投票所に姿を現したケイコ・フジモリ氏=ペルーの首都リマで11日、AP

 11日に投開票されたペルーの大統領選で、中道右派の野党党首ケイコ・フジモリ氏(45)=日系3世=が2位につけ、決選投票に進む可能性が高まった。1位は急進左派の小学校教師、ペドロ・カスティジョ氏(51)。ケイコ氏はアルベルト・フジモリ元大統領(82)の長女で、3度目となる決選投票で雪辱を誓う。

 中央選挙管理委員会が12日に発表した集計(開票率86%)によると、カスティジョ氏の得票率は18%。11日の第1回投票で当選に必要な過半数を獲得する候補者はおらず、6月6日に2人による決選投票が行われる見通し。13%で2位のケイコ氏は、1ポイント差で3位の候補を上回る。

 ペルーでは過去5年間で汚職疑惑を理由に罷免されたり辞任したりするなどし、大統領が3度も交代した。国民の政治不信が高まる中、18人が乱立する選挙戦となった。1位と4位の得票率の差は約7ポイントと、激しい接戦になっている。

 ケイコ氏はアルベルト政権(1990~2000年)で、離婚した母に代わってファーストレディー役を務め、知名度は高い。11年と16年の大統領選はいずれも決選投票で惜敗した。今回も経済の自由主義路線の継続を掲げながら、父から受け継いだ支持基盤である貧困層への目配りもする。新型コロナウイルスの感染拡大で5万人以上が犠牲となり、20年の経済成長率はマイナス11%に落ち込む中、「死と飢餓から国民を救う」と貧しい人々の生活改善を訴えた。

 ケイコ氏は3月、不正資金を受領したとして起訴された。支持率が10%前後に低迷する中で、大統領に就任すれば人権侵害や汚職の罪で服役中のアルベルト氏を恩赦にすると明言した。過去2度の大統領選では恩赦を否定してアルベルト氏と距離を置いたが、方針を転換した。恩赦を求める意見が根強い支持層にアピールし、まずは決選投票への進出を狙う戦略のようだ。政治アナリストのペドロ・テノリオ氏は地元有力紙コメルシオに、アルベルト氏との接近が支持層を「結束させた」としたうえで、候補乱立による票の分散がケイコ氏に有利に働いたと指摘した。

 一方、トップを走るカスティジョ氏は貧しい農村の出身。全国教員組合の指導者として給与引き上げを求める政府への抗議活動を率いたが、知名度は低く、1カ月前の世論調査では支持率は4%に過ぎなかった。政治家に対する市民の厳しい視線を背景に、大統領報酬を教員給与並みに減らし、国会議員の給与も引き下げると訴えた。自由主義に基づく長年の経済政策について「大多数の利益に反している」と非難し、主力産業である鉱業をはじめエネルギー・通信分野の企業の国有化を提案。既存の政治家と異なる大胆な政治姿勢が評判を呼び、支持を伸ばしている。

 次期大統領の就任は7月28日。【サンパウロ山本太一】

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