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東日本大震災

2011年3月11日に発生した東日本大震災。復興の様子や課題、人々の移ろいを取り上げます。

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「政府のやり方、風評被害広げる」 処理水海洋放出、専門家懸念

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東京電力福島第1原発の敷地内に立ち並ぶ汚染処理水のタンク。奥は左から2、3号機の原子炉建屋=福島県大熊町で2021年2月12日、滝川大貴撮影
東京電力福島第1原発の敷地内に立ち並ぶ汚染処理水のタンク。奥は左から2、3号機の原子炉建屋=福島県大熊町で2021年2月12日、滝川大貴撮影

 政府は13日、東京電力福島第1原発の汚染処理水を海に流す方針を決めた。実際の放出は約2年後の見通し。政府の決定について、専門家に話を聞いた。

小山良太・福島大教授(農業経済学)

 有識者による政府の小委員会が2020年2月に公表した報告書は「現地や関係業界と丁寧に議論をして、国民的な合意ができたら政府が決定する」という内容だった。しかし、それから1年余りの間で国民的な議論ができたかというと、新型コロナウイルスによる影響が大きく、そうはならなかった。

 風評被害の最も根源的な問題は、汚染水と汚染処理水、処理水の違いが、多くの国民に理解されていないことだ。汚染水は、原子炉建屋内にある放射性物質が高濃度の水。汚染処理水は、多核種除去設備「ALPS(アルプス)」などを使って放射性物質の濃度を下げた後、タンクに保管されている水。処理水は、技術的には取り除けないトリチウムを海洋放出前に国の放出基準を下回るようにした水。この1年ほどで、国民に広く浸透していない。

 新型コロナの問題で、汚染処理水の話はあまり注目されなかった。そういう意味では、報告書で書かれたことが、まだ達成されていない。賛成、反対も含めて、国民の関心が高まり理解が深まってから、政府は決断すべきだった。

 政府は地元の関係団体などから意見を聞く会を7回開いたが、意見を聞くことが中心で対話という形にならず、国民的議論に結びつかなかった。そのため、いきなり処分方法が決まったという印象を強く持たれる結果となってしまった。

 風評被害対策として、このやり方はすごくまずい。…

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