特集

Listening

話題のニュースを取り上げた寄稿やインタビュー記事、社説をもとに、読者のみなさんの意見・考えをお寄せください。

特集一覧

社説

松山選手マスターズV 快挙を次代につなげたい

 ゴルフの松山英樹選手が、4大メジャー大会の一つ、マスターズ・トーナメントを日本選手として初めて制した。

 1934年に創設され、その名の通り、名手たちが集まる大会だ。日本選手が戦前に初めて招待されて以来、85年間もはね返され続けた壁をついに打ち破った。

 松山選手のマスターズ初出場は2011年の東日本大震災の直後、東北福祉大2年の時だった。参加すべきか迷ったが、被災地からも激励を受けて出場を決意し、アマチュア最高の27位となって世界への扉を開いた。

 13年にプロに転向した後は、復興支援の基金を設立して寄付を続けた。米国に活躍の舞台を移してからも、自分を後押ししてくれた被災地への感謝の思いが常にあったという。

 米ツアーを回る中で経験を積み重ね、戦略的な攻め方と精神力を培った。マスターズ出場が10回目となった今回、会場であるオーガスタの難コースを知り尽くした戦いぶりで優勝を引き寄せた。

 近年は松山選手のように、海外を拠点に世界のトップレベルと競い合う日本選手が目立つ。

 テニスの大坂なおみ選手、サッカーの久保建英選手、バスケットボールの八村塁選手らも、松山選手と同様、東京オリンピックでの活躍が期待される。

 グローバルな環境に身を投じ、切磋琢磨(せっさたくま)しながら実力を伸ばす。そうしたアスリートたちが日本のスポーツ界をけん引している。

 今回の優勝は、世界でも注目を集めた。米紙ニューヨーク・タイムズは「アジア人やアジア系米国人に対する人種差別的な暴力が社会に動揺を与える中での画期的な勝利」と伝えた。

 覇者に贈られる「グリーンジャケット」を身にまとい、松山選手は「自分がもっと活躍すれば、僕を目指して海外を目指す子どもたちも増えるのでは」と語った。

 海外に出ていく若者が減っているといわれる。インターネットで世界の「距離」は縮まり、日本にいても多くの情報やモノが手に入る時代だ。

 だが、世界に飛び出してこそ得られるものがある。松山選手の快挙は、国際舞台に挑戦する次代へのエールにもなるはずだ。

コメント

※ 投稿は利用規約に同意したものとみなします。

あわせて読みたい

注目の特集