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ヤングケアラー

通学や仕事をしながら家族の介護をする子ども「ヤングケアラー」。将来が左右される深刻なケースも。

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ヤングケアラー支援「行政に専門部署設置を」 専門家、参院で提言

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渋谷智子・成蹊大教授 拡大
渋谷智子・成蹊大教授

 通学や仕事をしながら家族の介護や世話をする子ども「ヤングケアラー」をめぐり、参院国民生活・経済調査会は14日、ヤングケアラーの問題を研究する渋谷智子・成蹊大教授に参考人質疑した。渋谷氏は「ヤングケアラーはケアを担う前に、成長途上にある子どもだ。成長や安全をおびやかされる事態は避けなければならない」などと意見を述べた。渋谷氏は政府が12日に発表した実態調査に関わった有識者の一人。調査結果を踏まえ、ヤングケアラーを支援する専門の行政担当部署を置く必要性などを説いた。【山田奈緒/デジタル報道センター】

 渋谷氏は子どもがケアを担う背景として、共働きや一人親世帯の増加など家庭環境の変化、家庭のことは家族で助け合うべきだという価値観などがあると解説した。

 渋谷氏は、ヤングケアラー支援が進んでいる英国の現状も説明した。英国では、国が子どもに向けて「家族の誰かが世話を必要としていたら、あなたは助けたいと思うかもしれません。でも、大人と同じことをすべきではない」とホームページなどで呼びかけ、行政からサポートを受ける権利があることを子どもたちに明確に伝えているという。

 12日に政府が公表した調査結果からは、ヤングケアラーの割合が公立中学2年生で約17人に1人、公立の全日制高校2年生で約24人に1人に上ることが分かっている。だが、ケアの負担について、相談した経験のない子どもは6割超に上った。また、ヤングケアラーという概念の認知度は低く、中2、高2とも調査に応じた生徒の8割超が「ヤングケアラー」という言葉を「聞いたことがない」と回答した。

 渋谷氏は、国民生活・経済調査会に出席した議員から「支援を求めてもいいことを、子どもに認識させるためにはどのような方策があるか」と問われ、「ヤングケアラーとの言葉を得たことで、自分の置かれた状況を整理して理解することができる。押しつけはよくないが、状況を理解するためのツールとしてヤングケアラーという言葉が役立つなら使うことが大事。子どもの権利という概念を伝えることも大事だ」と答えた。

 ヤングケアラー支援については現在、主に厚生労働省子ども家庭局の虐待防止対策推進室が担っている。この点を踏まえ、議員は虐待とヤングケアラーとの関係や支援のあり方を質問した。

 渋谷氏は「(担当が同じだと)虐待にくらべてヤングケアラーは軽い、命に別条はない、学校には行ける、などと扱われる。本人が学校に行けなくなったり、深く悩んだりするまで支援がない状態になりかねない」と指摘し、「ヤングケアラーに特化し、独立した担当(部署)があれば、その方が良いと思う」と提言した。

 この日の調査会で、渋谷氏はケアされる側、する側の双方に支援が必要であることを繰り返し強調。「家族の力が弱体化していることを考慮しないまま、家族の助けを前提としてしまうと、子どもや若者にしわよせがいってしまう」と指摘。重いケア負担を経験した子どもたちの将来を懸念し、「家族を重荷やリスクとして感じた子どもたちは将来、自分たちが家族を持とうという気持ちになれるのだろうか」と問いかけた。

【ヤングケアラー】

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