東芝の車谷氏が辞任の理由を説明 「天命は果たせた」

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社長辞任を表明した東芝の車谷暢昭氏=2019年12月、道永竜命撮影 拡大
社長辞任を表明した東芝の車谷暢昭氏=2019年12月、道永竜命撮影

 東芝の社長兼最高経営責任者(CEO)を務めてきた車谷暢昭氏は14日、同社を通じて辞任の理由を説明するコメントを発表した。主な内容は以下の通り。

    ◇

 3年前、東芝再生のミッションを受け、無謀だと言われましたが、単身東芝に参画させていただき、東芝再生に取り組んできました。今年1月の東証1部復帰で、東芝再生のミッションがすべて完了し、現在かなり達成感を感じています。1月から家族と相談してきましたが、いったん3年の激務から離れて、心身とも充電したいと思っています。皆様には大変お世話になり、本当にありがとうございました。

 私は3年前、日本の財産である東芝を守り、再生せよ、との極めて明確なミッションを受け、取り組んでまいりました。当時お引き受けしたミッションは四つ。すなわち負の遺産処理、事業の選択と集中、基礎収益力強化による東芝の収益力回復、そして東証1部への復帰を果たし、東芝を再生するということでした。

 負の遺産処理は、LNG(液化天然ガス)契約の売却とともに、1年半で完了させ、事業の選択と集中も今年度でほぼ完了し、実質無借金経営となり、収益面も3年間で約1300億円の固定費改善を行いました。まだまだ十分とは言えませんが、固定比率は大きく下がり、結果、収益は2019年度に4倍、営業利益率はこの20年で最も高い水準まで回復しました。そして今年1月、コンプライアンス(法令順守)問題の改善と業績回復、経営の安定を受け、待望の東証1部への復帰がかないました。

 私がいただいた四つのミッションはやりきり、東芝は3年で再生完了となりました。株主様はじめ、お取引様からも多くの祝福を受け、何よりも東芝従業員の皆様にも喜んでいただき、お引き受けしたかいがあり、復帰当日は大変感慨深いものでした。人生に二度とない経験をさせていただき、まさに男子の本懐です。

 この間、厳しい構造改革や固定費の削減など、東芝の方々にとっては、苦しい不人気な施策も推進してきました。私のつたない方針についてきてくれました幹部、従業員の皆様に改めて感謝申し上げます。本当にありがとうございました。

 しかし、同時にこの厳しい過程を経験した後の直近の全従業員アンケートで、高いご支持をいただいたことは、従業員のみなさんに分かっていただいたと、本当に報われた気持ちでした。

 東芝は再生を完了し、これからサービス事業やデジタル事業を強化しつつ、量子暗号など、画期的な新技術の事業化に取り組もうとしている矢先の退任ということは、私の方針に期待をかけ、私を信じて株式を買っていただいた多くの株主様、お取引先様、そして従業員の皆様、そしてすべてのステークホルダーの皆様には本当に申し訳なく思っております。

 東芝はすばらしい会社です。特に技術、それを生み出す技術者は、世界に誇る日本の財産です。正しく軸をぶらさず経営すれば、東芝は10年で世界的なインフラサービス企業に、さらにデジタル企業に大きく飛躍できると信じています。

 私は東芝を深く愛しており、私のビジョンを共有し、信じていただいた多くの株主の皆様、お客様、改革を目指す多くの東芝従業員の皆さんなどに改めて深く感謝します。

 再生ミッションを成し遂げ、天命は果たせました。東芝を良い会社に戻すことはできたと思います。東芝がその実力を発揮して、日本が誇る真のリーディングカンパニーになるところまでやり遂げられなかったことへの思いはありますが、しばらく心身ともに充電しながら東芝のこれからの発展を見守りたいと思います。3年間誠にありがとうございました。

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