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政府は13日、東京電力福島第1原発の処理水を海に流す方針を決めた。実際の放出は約2年後の見通し。政府の決定について、五十嵐泰正・筑波大准教授(地域社会論)は、漁業のビジョンの確立が風評を乗り越えるカギだとみている。【聞き手・塚本恒/科学環境部】
◇
処理水の処分について、国は長い時間をかけて議論してきた。しかし、海洋放出という「結論ありき」と漁業関係者に受け止められてきた。結局は、政治的な決断だった。政治の責任で海洋放出を決めるのならば、もっと早く決断すべきだった。
なぜなら、福島県の漁業は今年3月末で試験操業を終えて、本格操業に向けて第一歩を踏み出したばかりだからだ。再興に向け、ようやく軌道に乗り始めたところで、海洋放出が決まるのは衝撃が大きい。「これまで築いてきた消費者との信頼関係を作り直すのか」となると、漁業者のやる気も下がりかねない。
そもそも漁業者には、海洋放出を受け入れるメリットが何もない。東日本大震災から10年がたっても、水揚げ量は震災前の2割弱にとどまり、高齢化や後継者不足にも苦しんでいる。福島で調査をすると、漁業者からは「また一からやり直しか」という不安をよく聞く。彼らは漁業の将来像が見えないことに苦しんでいる。長期間続く海洋放出について風評被害を心配するのは当然のことだ。
では、どのように風評被害を抑えるか。大事なのは流通…
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