医師の東野利夫さん死去、95歳 九大生体解剖事件の取材重ねる

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2017年12月に出版した自伝を持つ東野利夫さん=福岡市で18年1月29日午後3時15分、佐野格撮影
2017年12月に出版した自伝を持つ東野利夫さん=福岡市で18年1月29日午後3時15分、佐野格撮影

 太平洋戦争末期に九州帝国大(現九州大)で米軍捕虜が実験手術を受けて死亡した「九大生体解剖事件」に医学生として立ち会い、著書や講演で体験を伝えてきた福岡市の医師、東野利夫(とうの・としお)さんが13日、肺炎のため亡くなった。95歳だった。葬儀は近親者で営んだ。喪主は長男純彦(あつひこ)さん。

 事件は1945年5、6月に起き、熊本、大分県境に墜落した米軍爆撃機B29の米兵8人が実験手術の対象となった。生きたまま肺を切除されたり血液の代用として塩水を注入されたりしたとされ、全員が死亡。医学生だった東野さんは4回のうち2回に立ち会った。

 戦後にBC級戦犯が裁かれた「横浜裁判」で軍や大学関係者ら計23人が有罪判決を受けたが、東野さんは罪に問われず、検察側証人として出廷した。60年に福岡市内で産婦人科を開業し医療に携わる傍ら事件の取材を重ね、79年に「汚名『九大生体解剖事件』の真相」(文芸春秋)を出した。事件は遠藤周作の小説「海と毒薬」の題材にもなった。

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