寄稿

第79期名人戦七番勝負第1局観戦記 「名人駒」用い対決の美=松浦寿輝(作家)

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渡辺明名人(手前左)と斎藤慎太郎八段(同右)の対局を見つめる作家の松浦寿輝さん(奥中央)=東京都文京区のホテル椿山荘東京で7日、長谷川直亮撮影
渡辺明名人(手前左)と斎藤慎太郎八段(同右)の対局を見つめる作家の松浦寿輝さん(奥中央)=東京都文京区のホテル椿山荘東京で7日、長谷川直亮撮影

 渡辺明名人に斎藤慎太郎八段が挑戦する、第七十九期名人戦七番勝負の第一局は、四月七日、ホテル椿山荘東京の「料亭 錦水」で幕を開けた。かたや、鬼神のような強さを誇る渡辺名人、こなた、A級在位の初年度早々、八勝一敗という抜群の成績をあげ、名人挑戦権を獲得した若手の強豪・斎藤八段。始まる前からわくわくせずにはいられない好カードである。

 その対局を間近から観戦させていただけるという有難(ありがた)いお話があり、勇んで駆けつけた。将棋タイトル戦の観戦はわたしにとっては二回目で、前回は遡(さかのぼ)ること何と二十一年も昔、羽生善治王座に藤井猛九段が挑戦した二〇〇〇年度の王座戦の折りのことである。以来、将棋への興味はずっと続いていたが、俗事に追いまくられる貧乏暇なしの渡世が災いして、対局の現場に立ち会う機会を逃しつづけていた。

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