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ヤングケアラー 学びと生活の支援が急務

 大人に代わって家族の介護や世話をする子ども「ヤングケアラー」について、国による初の全国調査の結果が公表された。

 対象となった公立中学2年生で5・7%、公立の全日制高校2年生で4・1%が家族の世話をしていた。平日は平均4時間をケアに費やし、勉強や自分のための時間が取れない。孤立しやすい傾向も浮かび上がった。

 研究機関や自治体の調査で指摘されてきた問題だが、国の調査で裏付けられた。

 だが、回収率は約1割にとどまり、実態を十分反映していない可能性もある。小学生のヤングケアラーは対象外だ。更なる調査が必要だろう。

 ヤングケアラーのうち、きょうだいを世話しているのは、中2で約6割、高2で4割強だった。これまでの自治体などの調査では集計対象から外れていたが、父母や祖父母を介護しているという回答より多い。

 幼いきょうだいの食事を作ったり、保育所の送り迎えをしたりしている。手伝いではなく、親に代わり「育児」を担っているようであれば負担は大きい。

 誰にも相談したことがない生徒は、それぞれ6割を超えた。相談した人も、相手は他の家族や友人など身近な人がほとんどだ。公的な福祉窓口の利用は少ない。

 こうした生徒の存在を把握するうえで、学校も役割を果たせる。必要な支援につなげられるよう、行政の福祉部門との連携を強めたい。スクールソーシャルワーカーの増員も必要だろう。

 家族全体の状況への目配りも欠かせない。親が福祉や介護のサービスを十分に活用していない場合もある。保護者によるネグレクト(育児放棄)が原因なら、児童相談所の関与が求められる。

 全国で初めての支援条例を制定した埼玉県は、経験者の若者を招いて、教師や生徒・保護者向けの講演会を開いている。ヤングケアラーの問題に対する意識を高めるための取り組みとして、参考にしてほしい。

 家族で支え合うこと自体は大切だ。だが、過重な負担が子どもの将来を閉ざすようなことがあってはならない。政府は支援計画を早急に策定すべきだ。

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