「まるで喜劇」? 安倍晋三前首相、なぜ今「原発議連」顧問か

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福島県内を視察する安倍晋三首相(中央)。原発事故から10年を経た今も日本のエネルギー政策は迷走している=福島県富岡町で2017年4月8日午前(代表撮影)
福島県内を視察する安倍晋三首相(中央)。原発事故から10年を経た今も日本のエネルギー政策は迷走している=福島県富岡町で2017年4月8日午前(代表撮影)

 そこにいるのは、まさか――? 原発の新増設や建て替え(リプレース)を推進する自民党議員連盟の設立総会に取材で足を運ぶと、安倍晋三前首相の姿があった。議連の顧問に就くという。ちょっと待ってほしい。7年8カ月に及ぶ在任期間中、「1強」の名をほしいままにしてきた安倍前政権。退任してから議連の顧問になるくらいなら、どうして在任中にリプレースに取り組まなかったのか。

設立総会に原発推進派ズラリ

 12日、総会の会場となった国会内の会議室。新型コロナウイルスの感染対策なのか、間隔を取って席に座る約40人の自民党議員らと向き合うように、安倍氏が中央に座っていた。総会開催の案内文には安倍氏が議連に参加するとは書かれていなかったはず。思わず案内文を撮影した画面をスマートフォンで確認した。

 案内文は主に自民党を担当する記者が詰める記者クラブ「平河クラブ」に張り出されて告知された。呼びかけ人として額賀福志郎元財務相や甘利明元経済再生担当相、細田博之元幹事長ら、安倍氏と同様に顧問に就いた自民党重鎮議員が記載されているが、安倍氏の名前はない。

 安倍氏の横には甘利氏と細田氏のほか、議連の会長に就いた安倍氏に近い稲田朋美元防衛相、総会で講演する国家基本問題研究所の桜井よしこ氏ら原発推進派として知られる面々が並んでいた。この10年間、これほど明確に原発の新増設を打ち出した議連はない。会場後方には報道各社の政治部や経済部の記者らが数多く集結。関心の高さがうかがえた。

原子力に「しっかり向き合え」

 安倍氏にも発言の機会が回ってきた。「エネルギー政策を考える上で、原子力にしっかりと向き合わないといけない」。そう強調したが、ではなぜ自身の政権下で議論を活性化させなかったのか。この国のあるべきエネルギー政策を追ってきた記者としては、モヤモヤした気分になった。

 世間一般では、…

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