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フランスのマクロン大統領が、戦後の行政を支えてきた官僚養成エリート校ENA(エナ)の廃止案を打ち出した。なぜ、今、廃止なのか。またどんな影響が出るのか。フランス政治に詳しい同志社大政策学部の吉田徹教授(比較政治学、欧州政治)に聞いた。【聞き手・宮川裕章】
――そもそもENAはどのような背景から生まれ、フランス社会の中でどのような位置づけの機関なのでしょうか。
◆ENAは第二次世界大戦後の国家復興を担う人材を養成しようというドゴール元大統領や共産党指導者の構想から生まれた。ドゴール氏は戦前の第三共和制下で、議会が党派争いに明け暮れ、国家のことを最優先に考えるエリートがいなかったことが、フランスを(ドイツによる占領という)敗北に導いたと考えた。占領下の対独協力政権が技術官僚を重宝した経緯もあり、戦後、国家を統率する強力なエリート養成機関として1945年にENAを創設した。
――それから70年以上がたち、ENAの成果やメリットはあったのでしょうか。
◆ENAは日本でいえば多くの官僚を輩出する東大法学部を凝縮したような学校で、その一番の特徴は…
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