コロナ禍でPTAに何が起きたか 岡田憲治・専修大教授
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「魔界」と思って避けてきたPTAの世界に飛び込んで、東京都内のある公立小学校で3年間もPTA会長を務めた政治学者の岡田憲治・専修大教授(58)。最後の1年を揺るがしたのは、新型コロナウイルスの感染拡大だった。PTAの本来の役割とは何なのか。それを問うことから、「地べた目線のデモクラシー」が見えてくる。前編に続き、後編をお届けする。【小国綾子/オピニオングループ】
コロナ禍で何が起こったか
岡田さんのPTA会長3年目となる2020年の春は、学校の「一斉休校」で始まった。コロナ禍である。突然の休校に、保護者たちは不安を募らせていた。役員たちで急いでPTAのホームページを立ち上げ、不安を抱える保護者向けに情報発信を始めた。
折しも、岡田さんはPTAの「学級委員」「文化厚生委員」「広報委員」「校外委員」を「各クラスから1人ずつ選ぶ」という規約を、「必要に応じて適宜選べる」ような文面に変えようと尽力していた時だった。「ポイント制」を無意味にするための第一歩である。
「各クラスから一律に委員を選ぶのではなく、自ら手を挙げた人たちだけが委員となり、その人員で回るような活動をする」ように規約改定を目指したのだ。
しかし、その行く手を阻んだものがいた。疫病である。
コロナ禍で、PTA役員たちはそもそも集まって話し合うことすら、ままならなくなってしまったのだ。
それでも岡田さんたちはあきらめなかった。改革の機運は高まり、結局、その年の年末の臨時総会で、なんとか規約を改定することができた。
また、コロナ禍がきっかけで見直された仕事もある。まず、…
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