メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

ALL FOR 2020

東京へ ともに歩む

毎日新聞

女子400メートル自由形決勝を制し、五輪出場を決めた小堀倭加=東京アクアティクスセンターで2021年4月4日、梅村直承撮影

Passion

競泳・小堀倭加「あわてず、あせらず、あきらめず」8分超の泳ぎ

 競泳女子に楽しみな若手が現れた。400メートルと800メートル自由形で、東京オリンピック代表に決まった日大3年の小堀倭加(20)=セントラルスポーツ戸塚。過酷な長距離レースで、自らのペースを貫く。得意の追い上げを信じて泳ぐ心には、刻んだ言葉がある。

 身長163センチ。競泳選手として決して恵まれた体格とは言えないが、伸びやかな泳ぎで水面を進む。4月4日の日本選手権400メートル自由形は圧巻だった。残り50メートルで体半分ほど先行を許していた難波実夢(MGニッシン)にぐんぐん迫った。ストローク(腕のかき)のテンポを上げ、0秒02のタッチ差を制した。「前半はあわてず難波さんについていき、最後勝てたらと思っていた」。想定通りのレースプランに、してやったりの表情だった。

 小堀は自らのターニングポイントを、神奈川・湘南工大付高への進学を挙げる。1992年バルセロナ五輪に出場した三好智弘コーチに師事。中学までは背泳ぎを専門種目としていたが、持久力のある泳ぎが三好コーチの目に留まり、自由形に挑戦した。

 「背泳ぎで伸び悩んでいた時期でした。自由形には戸惑いはありましたが、泳ぐと『意外と速いじゃん』と思え、水泳に取り組む気持ちも変わっていきました」と振り返る。結果はすぐに表れた。高校1年の全国高校総体(インターハイ)で400メートルと800メートルの自由形で2冠を達成。高校3年で初めて日本代表入りを果たすと、18年ジャカルタ・アジア大会では800メートルと1500メートル自由形で銅メダルを手にし、頭角を現した。

女子800メートル自由形決勝、2位で派遣標準記録を突破し東京オリンピック出場を決めた小堀倭加=東京アクアティクスセンターで2021年4月9日、宮間俊樹撮影

 女子の自由形中長距離は、長く世界と水をあけられてきた。日本勢の五輪表彰台は17年前のこと。04年アテネ大会800メートル自由形で金メダルを獲得した柴田亜衣を最後に、その後は予選敗退が続いている。

 その要因の一つには、タフなレースに耐えられる海外勢との体格差が挙げられる。小堀が2種目めの代表権を勝ち取った800メートルは50メートルの長水路プールを計15回折り返し、8分以上を泳ぎ続ける。

 「距離を数えるぐらいで、何も考えないようにしている」。小堀は無心で泳ぐ。その中でも意識するのは、泳ぎの参考にもしている柴田が大切にしていた言葉「あわてず、あせらず、あきらめず」だ。前半から積極的にレースを展開する選手がいたとしても、ペースを乱すことなく自らのラップを刻み、得意の後半で勝負を仕掛ける。

 世界の舞台でも活躍し、女子中長距離を引っ張る自覚も芽生え、「2種目ともに予選から自己ベストを更新し、決勝では日本新を目指したい」と小堀。伸び盛りのスイマーの泳ぎに最後の最後まで目が離せない展開となりそうだ。【村上正】

村上正

毎日新聞東京本社運動部。1984年、神戸市生まれ。2007年入社。舞鶴支局、神戸支局を経て、大阪本社社会部では大阪府警を担当。17年4月から現職。競技は水泳やサーフィンを担当。東京パラリンピックでは取材班キャップ。16年リオデジャネイロ五輪を取材した感動から、長女に「リオ」と命名した。