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エッセイスト・内田也哉子さん 「樹木希林の娘」がたどり着いた家族観 「ひとりぼっち」怖くない

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インタビューで母の樹木希林さんの思い出を語る内田也哉子さん=東京都千代田区で2021年4月11日、丸山博撮影
インタビューで母の樹木希林さんの思い出を語る内田也哉子さん=東京都千代田区で2021年4月11日、丸山博撮影

 家族について語るエッセイストの内田也哉子さん(45)は、体裁を取り繕うことをしない。女優とロックンローラーの間に生まれた一人娘。だんらんを知らずに育った自身の環境を「いびつな家族」と表現し、それが苦悩の根源だと言ってはばからない。成人を待たずに結婚し、3児の母となり、やがて銀婚式を迎えた。両親を亡くして2年を経た今、その存在の大きさを語り出した。

 「生きている間も嵐を呼ぶ男でしたけど、先日の三回忌もずぶぬれになりながら法要を執り行いました。亡くなった後も、父は私たちを守ってはくれないのねって、夫や子供たちと笑いながら」

 父の内田裕也さん(享年79)が亡くなったのは2019年3月。母の樹木希林さん(享年75)が他界した半年後だった。思い返すと、裕也さんが赤い靴下姿で喪主を務めた希林さんの葬儀は、弔問客が出入りする時間だけ雨がぱたりとやんだ。「こじつけですけど、生きてきた人柄が表れるんですかね。人に迷惑をかけない母らしい気がします」。也哉子さんはそう振り返る。

 希林さんと裕也さんが結婚し、同居していた期間は2カ月に満たない。希林さんが妊娠中に裕也さんを家から追い出したため、誕生した也哉子さんが父と過ごした時間は生涯で数十時間ほどだった。「せっかくこの世に親子として存在したのに、父のことを何も知らないままでした。互いに生きていれば、いつでも質問を投げかけたり、感情をぶつけたりできるという安心感があって。父が生きていた時間を甘く見ていたと正直感じています。父のことを知りたいけれど、何か恐れがある。ファーザーコンプレックスということなのでしょう」

 裕也さん不在の家庭について、「そこはかとなく不穏な空気が流れていて、いわゆる幸せな家庭の風景ではないと感じていました」と明かす。そのため、也哉子さんは「家庭って、…

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