特集

Listening

話題のニュースを取り上げた寄稿やインタビュー記事、社説をもとに、読者のみなさんの意見・考えをお寄せください。

特集一覧

社説

経営の迷走続く東芝 統治の立て直しが急務だ

 東芝の経営が迷走している。英投資ファンドCVCキャピタル・パートナーズから買収提案があった直後に、車谷暢昭社長が突然辞任した。

 「もの言う株主」との対立や買収提案への対応といった難題は残ったままだ。経営体制の立て直しを急がなければならない。

 車谷氏は不採算事業を整理して東京証券取引所1部市場への復帰を果たした。その一方、経営戦略を巡って投資ファンドとの対決姿勢を強め、昨年の株主総会では再任への賛成が6割弱にとどまっていた。

 CVCの買収提案は、既存の株主から株式を買い取り、上場を廃止して経営の自由度を高めるものだ。もの言う株主を排除したい車谷氏にとっては、渡りに船だったといえる。

 しかし、車谷氏はかつて、CVCの役員を務めていた。提案の背後に古巣の投資ファンドとの関係があるのではないかとの疑義が出ている。

 社内ではコスト削減を急ぐ車谷氏への不信感が広がっていた。買収提案で求心力がさらに弱まり、追い込まれた末の辞任といえる。

 後任には前社長の綱川智氏が復帰した。だが、トップを代えれば東芝の置かれた厳しい状況が好転するというものではない。

 東芝は不正会計や原発事業の失敗で経営危機に陥り、財務改善のために医療機器などの有力事業を売却している。収益の急拡大は難しい。

 その上、子会社の不祥事や、昨年の株主総会運営の不手際などが重なり、企業統治に対する不信が強まっている。

 綱川氏は株主との関係改善を掲げる。しかし、株主への還元を優先して将来に向けた投資がおざなりになれば、成長力を損なう。

 東芝が力を入れる半導体や再生可能エネルギーは、日本経済にとっても重要な分野だ。防衛など国益に関わる事業も手がけるだけに、経営の安定性が欠かせない。

 企業統治の強化が求められている。株主との対話や社長辞任を巡り、取締役会はどう対応してきたのか。丁寧に説明し、利害関係者の理解を得なければならない。それが、迷走から抜け出す第一歩になる。

コメント

※ 投稿は利用規約に同意したものとみなします。

あわせて読みたい

注目の特集