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大阪で「医療崩壊」危機 政府が前面に出なければ

 新型コロナウイルスの感染急拡大で、大阪府の医療体制が崩壊の危機に直面している。

 新規感染者が連日1000人以上にのぼり、重症患者の病床使用率は9割を超える。一般の診療にも影響が出始めた。

 専門家は危機感を強めている。日本医師会の中川俊男会長は「既に医療崩壊が始まっている」との認識だ。政府の分科会の尾身茂会長も、緊急事態宣言の再々発令を選択肢に入れるべきだと語った。

 感染の「第4波」が始まっているのは明らかだ。国が前面に出て対応すべき局面である。

 しかし、政府の腰は重い。菅義偉首相は感染状況について「全国的な大きなうねりとまではなっていない」と述べた。就任後初となる対面での日米首脳会談のため、米国へ出発した。

 政府は大阪に「まん延防止等重点措置」を5日から適用している。さらに府は独自に「医療非常事態宣言」を出し、病床の拡充を要請した。それでも患者の急増に追いついていない。

 大阪府の吉村洋文知事は、緊急事態宣言の発令を政府に要請する可能性に言及している。宣言が出れば、知事は法的根拠に基づいて外出自粛や百貨店などの休業を要請することができる。

 首相帰国後の19日ごろまで、重点措置の効果を見極めるというが、それで間に合うのだろうか。

 この1年間に得られた教訓は、対応が後手に回れば感染拡大に歯止めを掛けられないことだ。政府は昨冬の「第3波」の際、GoToトラベルの継続に固執し、2度目の宣言発令が遅れた。同じ過ちを繰り返してはならない。

 感染力が強いとされる変異株が各地で広がっている。政府は埼玉、神奈川、千葉、愛知の4県にも、重点措置を適用する方針だ。

 重点措置は対象区域を絞って、感染を抑える仕組みだ。しかし、感染が大阪、東京だけでなく周辺地域にも広がる中、広域での対策が急務となっている。

 政府は、宣言の再々発令には消極的なように見える。夏の東京オリンピックを意識しているからではないか。

 医療現場の厳しい現状を直視し、必要な時には強い措置をためらってはならない。

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