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東京電力福島第1原発の事故前、政府は自然災害が原子力災害を引き起こす複合災害の可能性について、ほぼゼロと見ていた。今は複合災害も想定されている。しかし、住民からは「避難の時に通る道路が寸断されるのではないか」という声もあり、懸念は払拭(ふっしょく)されていない。【奥山智己】
三陸のリアス式海岸が続く宮城県石巻市の牡鹿(おしか)半島に車で行くには市中心部から一本道の県道に入る。半島を一周するように海岸の斜面に沿った道を進むと、市に隣接する女川町との境に建つ東北電力女川原発の前に出る。半島のほとんどの集落は、その一本道から分かれた道沿いにある。
「福島みたいに地震と原発事故がここで起きたら覚悟しておかないと」。目の前に海が広がる桃浦(もものうら)地区で暮らす漁師の甲谷(こうや)強さん(92)は、不安を隠さなかった。住民の多くは、複合災害を気にかけているという。
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