羽生、今季自己最高で2位 「4回転半への道」不完全でも覚悟

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男子フリーで演技する羽生結弦=丸善インテックアリーナ大阪で2021年4月16日(代表撮影) 拡大
男子フリーで演技する羽生結弦=丸善インテックアリーナ大阪で2021年4月16日(代表撮影)

 フィギュアスケートの世界国別対抗戦は第2日の16日、大阪市の丸善インテックアリーナ大阪で行われ、男子フリーで冬季五輪2連覇中の羽生結弦(ANA)は今季自己最高の193・76点で2位だった。

 回転が抜けた4回転サルコウ、予定通りに跳べなかった連続ジャンプ。今季最後のフリー「天と地と」は、完璧なものではなかったかもしれない。ただ、羽生は最後のジャンプとなるトリプルアクセル(3回転半ジャンプ)を前に、心を決めた。

 「絶対きれいに決めてやるんだって。4回転半(ジャンプ)に続く道を、ここで示すんだという気持ちで挑んだ」

 ゆったりとしたスピードから高く、美しい放物線を描いた羽生は、しっかりと着氷。3回転半を単発で跳んだ出場選手の中で唯一、出来栄え評価で3点以上の加点を引き出した。「自分でも力を感じることなく、スムーズに軸に入って高さもある良いジャンプだった。今できる自分の、3回転半だと思う」と振り返った。

 3月下旬の世界選手権、そして前日のSPでは得意にしてきた3回転半が乱れていた。「ここ2試合で、3回転半があまりにもうまく決まらなくて、すごくショックを受けていたというか、悔しかったというか。トリプルアクセルというジャンプに対して、すごく申し訳ない気持ちでいた」。今季最後のジャンプを来季へつなげるために、全ての感覚を研ぎ澄ませた覚悟のジャンプだった。

 新型コロナウイルスの影響で国内でコーチ不在の調整を強いられた今季は、羽生にとって前人未到のクワッドアクセル(4回転半ジャンプ)へ挑戦し続けた日々でもあった。世界選手権直前まで構成に入れるか迷うほど、ジャンプの輪郭は見えてきていた。羽生は「(あと)8分の1、回れば立てる」と未知なる領域との「距離」を語る。

 今季最後の大会に組み込むことも予想されたが、羽生は明確に否定した。「そもそも、このスケジュールで挑むのは無理」。世界選手権を終え、3月30日に帰国してからの隔離生活では慣れないリズムによって体調不良もあり、万全ではなかった。その上でこう付け加えた。

 「普通の試合以上に良い演技をしなくてはいけない意気込みを強く持っている。だからこそ、僕の気持ちを優先するよりも、みんなの力になれる演技をしたいと思っています」

 団体で争う日本のチームメート、そしてコロナ下でも自らが滑る意味を見いだすことができた多くの人たちへの思いからだった。ジャンプや点数ではない「完成された、完璧な演技」を追い求める羽生は、今大会でも自らの美学を貫いた。

 来季はいよいよ3連覇のかかる五輪シーズンが幕を開ける。羽生は「4回転半を目指している状況の中に五輪があれば、それは考える」としており、北京が視界に入り始めていることは間違いない。

 わずか3戦で終わった異例のシーズン。ただし「確実にうまくなっている」と本人が手応えを感じているように、26歳の今も成長し続けている。「今季、4回転半を(構成に)入れられなかったのは残念。ただ、4回転半を練習してきたからこそ、見えてきたものがある。そうしたいろんな知識、経験を結集させて、4回転半がそろった完成された演技を目指して頑張りたい」

 「とても険しい壁」と例えるそのジャンプを成功させる日まで――。羽生結弦は滑ることをやめない。【倉沢仁志】

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