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毎日新聞朝刊1面の看板コラム「余録」。▲で段落を区切り、日々の出来事・ニュースを多彩に切り取ります。

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春らんまんやうららかといった表現が…

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 春らんまんやうららかといった表現が使われる日本の4月とは異なり、ミャンマーの4月は「すべてを枯渇させるような猛暑の月」という。2月の軍事クーデターで拘束されたアウンサンスーチーさんが四半世紀前に本紙に連載した「ビルマからの手紙」に書いている▲ミャンマー暦ではきょう正月を迎える。新年を前に年末の4日間にティンジャンと呼ばれる水かけ祭りが行われるのが恒例だ。猛暑の時期ならではの行事で、平和や繁栄を祈り、けがれを払う意味を持つ▲祭りでは政府への風刺などを盛り込んだタンジャという、はやし歌を披露するのが伝統だ。軍政によって禁じられたタンジャはスーチーさんが政治活動に復帰し、民主化が進む中で復活し、人々を喜ばせていた▲しかし、今年は国軍の弾圧に抗議する人々が祝賀拒否を呼びかけた。一方で言論弾圧が再び、強化されている。SNS(ネット交流サービス)などで発信を続けてきた俳優や歌手、ジャーナリストら約100人が「危険分子」として指名手配された▲スーチーさんによれば、仏教国ミャンマーの子どもたちはティンジャンの間、帝釈天(たいしゃくてん)が地上に降り、金張りと犬の毛皮張りの本2冊を抱えて人間界を歩き回ると教わるそうだ。功徳を積んだ人は金張り、正しい行いをしなかった人は犬の毛皮張りの本に名前が記されるという▲軍の発砲などによる死者は700人を超えた。弾圧を指示した国軍幹部の名が金張りの本に記されないことだけは間違いあるまい。

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