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東日本大震災

2011年3月11日に発生した東日本大震災。復興の様子や課題、人々の移ろいを取り上げます。

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原発事故の処理水 福島知事が東電社長に要望 「確実な賠償を」

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内堀雅雄福島県知事(左)に今後の方針を説明する東京電力の小早川智明社長(右側中央)=福島県庁で2021年4月16日午後4時41分、磯貝映奈撮影 拡大
内堀雅雄福島県知事(左)に今後の方針を説明する東京電力の小早川智明社長(右側中央)=福島県庁で2021年4月16日午後4時41分、磯貝映奈撮影

 東京電力福島第1原発の処理水について、政府が約2年後の海洋放出を決めたことを受け、東電の小早川智明社長は16日、福島県庁を訪れ、内堀雅雄知事に風評対策や賠償など今後の対応を説明した。内堀知事は「県民との信頼関係を再構築し、東電が主体性を持って取り組み、確実な賠償をしてほしい」と要望した。【寺町六花、磯貝映奈】

 小早川社長は冒頭、福島第1原発3号機の故障した地震計の放置や、柏崎刈羽原発(新潟)のテロ対策不備など相次ぐ不祥事について「信頼が失われている中で(国の)基本方針が示され、重く受け止めている」と発言。「責任を持ってガバナンス(統治)を強化し体制の立て直しを図る」とし、設備の総点検や正確な情報発信をする実働チームを発足すると表明した。

 また東電側は、海洋放出に必要な設備設計▽放出の約1年前からの海域モニタリングの強化▽国内外への情報発信▽農林水産物の流通促進▽期間や地域、業種を限定しない賠償--などの基本方針を説明した。

 会談後、取材に応じた内堀知事は「県民は(東電に対し)不信感の方が大きいのが現実だ。東電自身が実施者としての主体性を持ってほしい」と指摘。賠償については「ADR(裁判外紛争解決手続き)で訴えている人の思いに東電が沿っていない部分もある。立証するのは苦労が多い。この2年間で具体的な方針を早期に出し、関係者と協議し、より良い賠償の形を作ることが重要だ」と話した。

東京電力福島第1原発の1~4号機(奥)と汚染処理水がたまるタンク=福島県大熊町で2021年2月、本社ヘリから手塚耕一郎撮影 拡大
東京電力福島第1原発の1~4号機(奥)と汚染処理水がたまるタンク=福島県大熊町で2021年2月、本社ヘリから手塚耕一郎撮影

 一方、東電側は会談後に記者会見し、賠償の期間や枠組みについて問われ「賠償のスキームよりまず先に風評の抑制をしなければならない」と述べた。そのうえで「損害がある限り最後の一人までという考えに変わりはない。賠償の基準は(国の)指針にのっとって行うが、国の指導を受け、放出までの間に意見をしっかりうかがいたい」と述べ、詳細は言及しなかった。

国が県漁連に謝罪「責任を感じている」

 政府が福島第1原発の処理水の海洋放出を決めたことについて、県漁連は16日、いわき市で理事会を開き、国の担当者を呼んで説明を受けた。会合は非公開。終了後、取材に応じた県漁連の野崎哲会長は、2015年に国と東電が「処理水は関係者の理解なしには、いかなる処分も行わない」と県漁連に約束したことを会合で問いただしたと明かし、国側は謝罪したという。

 県漁連は海洋放出の決定に反発しており、野崎氏は「(国と東電との)約束をどう説明するのか。その解決なしに今回の方針も信頼できない」と伝えたという。これに内閣府の松永明・福島原子力事故処理調整総括官は「いろんな方法を考えたが、この方法しか見いだせなかった。非常に重く受け止めており、責任を感じている。申し訳ない」と謝罪したという。【柿沼秀行】

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