プレーバック2013 担当が見た楽天・田中将大、日本一への軌跡

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レギュラーシーズンで無傷の24連勝を達成し、ボードを掲げる楽天の田中将大=仙台市で2013年10月8日、小川昌宏撮影
レギュラーシーズンで無傷の24連勝を達成し、ボードを掲げる楽天の田中将大=仙台市で2013年10月8日、小川昌宏撮影

 第一印象は「大きいな」だった。プロ野球・楽天の田中将大投手は身長188センチ。2013年に楽天を担当した私はこの年、田中将の存在がどんどん大きくなっていくのを目の当たりにした。開幕から無傷の24連勝という、とてつもない記録を打ち立て、チーム初で現在まで唯一の日本一に貢献し、ファンに最高の置き土産をして海を渡った。以来8年。彼が再び「楽天・田中将」としてプロ野球の公式戦で登板する。復帰初登板を前に当時の田中将と星野仙一監督の記憶を掘り起こした。

洗練されていく投球

 アイドルグループ「ももいろクローバーZ」をイメージしたカラフルなグラブでにこやかに練習し、時には好きな競馬の予想にも興じる。だが、マウンドでは表情が一変する。それが田中将だ。

 13年のレギュラーシーズンに24勝1セーブ(0敗)を挙げた田中将に対して失礼かもしれないが、前半戦はピリッとしなかった印象がある。スコアブックとメモを見返すと、敗戦投手のような反省の言葉があふれていた。後半戦は、ある意味で記者泣かせの投球を見せつけられた。

 同年3月の第3回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)の影響で調整期間が短く、開幕投手を新人の則本昂大に譲った田中将は4月2日、本拠地・仙台での開幕戦のオリックス戦で初登板し、7回1失点で1勝目を挙げた。球速は150キロに届かず、相手をねじ伏せるというよりは丁寧な投球で、手探りの様子だった。

 「内容はあまり良くない。バックや打線に助けられてばかり。勝ててホッとしている」(田中将)

 「今日の田中はちょっと心配だった。それでも勝ってくれると信じていた」(星野監督)

 交流戦に入り、5月14日のDeNA戦は8回3失点で6勝目。最速155キロをマークしたが、本人いわく横浜スタジアムの球速表示は「速い」。試合中は何度も首をかしげ、7安打を浴びた。それでも連打は許さず、調子が悪くても傷口を広げない。この投球が投げるたびに洗練されていく。

 「良くないと分かっていたので慎重にしっかりと投げようと思った」(田中将)

 「(味方の援護が)7点あったら完投してくれんと。どうしても球数が多すぎる」(星野監督)

 次の5月22日、巨人戦でシーズン初完投勝利(1失点)を挙げて7勝目。6月9日の巨人戦から42イニング連続無失点(パ・リーグ歴代4位)を達成し、…

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