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「こども庁」の新設構想 組織ありきでは動かない

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 子どもに関する政策を担う「こども庁」の新設を自民党が検討し始めた。

 子育て支援や児童虐待対策など、複数の省庁にまたがる課題に一元的に取り組むことで、政策を円滑に進める狙いだという。

 子どもを巡る問題では、これまで縦割り行政の弊害が指摘されてきた。

 たとえば虐待への対応だ。厚生労働省が所管する児童相談所、文部科学省が受け持つ学校、警察など関係機関の連携が不十分で、最悪の事態を防げなかったケースが少なくない。

 幼児を受け入れる幼稚園と保育園、認定こども園も、所管する府省が異なる。待機児童問題の解消に向け、幼保一元化を求める声は強いが、実現していない。

 子どもの健やかな成長を支える政策の強化が求められているのは確かだ。政府による子育て関連支出が国内総生産(GDP)に占める割合は1%台で、欧州諸国と比べて見劣りがする。

 そうした状況を変えるのに、強い権限と十分な予算を持つ新たな組織をつくることは選択肢の一つだろう。

 だが、最大の問題は、子どもに関するどの政策を担当するかということだ。

 各省庁の政策は、不妊治療や子育て支援などの少子化対策から、社会問題化している虐待やいじめ、不登校、自殺の対策まで多岐にわたっている。

 これらの政策をすべてカバーしようとすれば、大規模な省庁の再編が必要となる。

 自民党はこども庁の新設を、今秋までに予定される衆院選の公約の目玉にする構えだ。できるだけ早期に設置への道筋をつけようとしている。

 しかし、新しい組織づくりばかりが強調されることには違和感を覚える。どういう政策を担うのか中身の議論が後回しにされたのでは、看板倒れになりかねない。

 子どもに関する政策で何が欠けているのか。それを克服するためにはどれほどの財源が必要となるのか。そうした根本的な問題を時間をかけて議論すべきだ。

 あくまで子ども本位の視点に立って、政策の充実につなげなければならない。

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